本記事は、最近のRubyで出現した"無用な"(さもなければ物議を醸す)構文要素を扱うシリーズ記事の一環です。本シリーズの目的は、そうした機能を擁護することでも批判することでもなく、その機能が導入された理由、設計、そして新構文を使うコードに与える影響を分析するための一種の「思考のフレームワーク」を皆さんと共有することです。本シリーズのあらまし記事もご覧ください。 今回取り上げるトピックは小さなものですが、ハッシュ1 やキーワード引数の値を省略可能にする機能は、複雑な心境を大いにかきたてました。 🔗 値省略とは何か Ruby 3.1から以下のコードが動くようになりました。 x = 5 # ハッシュを構築する h = {x:} # `h = {x: x}`と同じ #=> {x: 5} def distance_to(x:, y:) # ... end # `x: 5`を暗黙で渡す distan