玉水物語 2巻 | 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ ※この記事では、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの画像を、適宜改変して使用しています。 【原文】 かゝる所に、母の物ゝ怪起こりければ、一所に集まりて嘆くに、又少し怠りたる様にて寝たれバ、皆打ち緩ミ、夜更け人静まりて、此の娘 斗《ばか》り起きていたるに、毛一筋も無く、禿げたる古狐一つ立ち寄りて見ゆ。 よく/\見れバ、我が父方の伯父なり。 是を追い退《の》けたれバ、病者は微睡《まどろ》ミけり。 互ひに「こハ不思議成る事哉《かな》。如何《いか》に」と言ふ。 我[「若」の誤りか]狐、 「我、聊《いさゝ》かの便りによりて、此の病者を親と頼む事有り。 然《しか》るべくハ、立ち退きて此の苦しミを止め給へ」 と言へハ、 「努々《ゆめ/\》叶うまじき。 其の故《ゆえ》は、かの病者の父、我が頼ミたる子を 【予習の答え】 毛一すしもなくはけたるふるきつね