政治主導は常に良い結果をもたらすのか。政軍関係を通じて考えてみる。一般的に軍は軍事力を用いて問題を解決する傾向があり、軍に対し「政治統制」つまり政治主導を確立することが戦争への道を防ぐ効果的な方法であるといわれている。以下、中印戦争(1962年)に至るインドの動きに焦点を当てこの命題を考察する。 ≪政治統制が効いていたインド≫ インドでは、独立運動を率いたガンジーやネルーといった政治家が英雄として人気が高く、英領時代に独立運動を鎮圧するため英国が創設したインド軍は植民地主義の手先と見なされ、独立後も政治的影響力は低かった。インドでは「政治統制」は確立していた。 中印戦争前のインドでは、多くの国民が自国が攻撃される可能性はほとんどないと考えていた。ガンジーによる非暴力不服従運動は世界中に知られており、インドが持つ平和主義のイメージによっていかなる国もインドを攻撃することをためらうであろう、イ