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  • 「国家の命運は金融にあり」(上・下) 相場師転じて真人間 流転の人生 朝日新聞書評から |好書好日

    「国家の命運は金融にあり」(上・下) [著]板谷敏彦 「コレキヨ」さん、やはり面白かった。読み進めるうち、やがて楽しく、そして哀(かな)しい気分になった。経済人が書いた伝記小説で読みやすい。色々なことに携わったコレキヨの多面性を、エコノミスト連載の形で一つ一つわかりやすく取り上げる。どこからでも気軽に読めるのだ。 実はコレキヨの理解を難しくしているのは、『高橋是清自伝』という口述(これが抱腹絶倒の面白)があるからだ。著者も注意深く指摘しているように、コレキヨ自らの語りの中に、我々は手もなくうっちゃられてしまうからだ。生まれてこの方、コレキヨは英語に取りつかれ、若いころにアメリカにやられる。これ自体まっとうではない。 「帰国して教師、落ちぶれて芸者のヒモ、相場師」と著者が述べるように、若くしてロクなものじゃない人生を送る。やがて後の特許庁の役人となり、日の特許制度を作り上げる。何と相場

    「国家の命運は金融にあり」(上・下) 相場師転じて真人間 流転の人生 朝日新聞書評から |好書好日
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2024/07/22
    "日銀や国際金融家としての高橋は、人との交渉もうまいのだが、政党政治家としては政友会の代議士連中に手もなくひねられてしまう。そのあまりの巧拙の差に、著者の筆も湿りがちになる" →伏魔殿としての政友会。
  • イスラエルはどうしてあんなにひどいことができるの? 早尾貴紀——前編|じんぶん堂

    記事:平凡社 パレスチナ・イスラエル問題に関するオンラインセミナー「パレスチナ連続講座」に登壇する東京経済大学教授の早尾貴紀さん 書籍情報はこちら ヨーロッパ植民地主義を反復するイスラエル イスラエルは1948年の建国の際に、およそ500のパレスチナの村や町を破壊し、住んでいた人々は難民となって周辺の地域に逃れました。とりわけガザ地区は住民の70%以上が難民という状況が生じました。 1967年から軍事占領されたガザ地区では、抵抗運動とそれに対する弾圧、空爆や侵攻も繰り返されてきました。2000年代からは陸海空の封鎖が強化され、ガザ地区は外部との出入りがほぼできない「巨大監獄」のような状態に置かれています。2023年10月7日の武装蜂起は、このような軍事占領に対する最終的な一斉蜂起、最後の抵抗でした。 それを受けてイスラエルは大規模な空爆、侵攻、虐殺を始めました。抵抗運動を組織してきたハマー

    イスラエルはどうしてあんなにひどいことができるの? 早尾貴紀——前編|じんぶん堂
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2024/06/05
    "イギリスがパレスチナを委任統治という名目で手に入れたとき、日本はドイツ帝国の植民地だった南洋群島の委任統治を国際連盟に認めさせました。""相互承認だったわけです。" →ブックマーク
  • 略奪で富み、貿易で栄えた大英帝国。躍進の立役者は海賊だった! 『世界史をつくった海賊』より|じんぶん堂

    記事:筑摩書房 original image:designprojects / stock.adobe.com 書籍情報はこちら ウォルト・ディズニー映画パイレーツ・オブ・カリビアン(Pirates of the Caribbean=カリブの海賊)の第三作目では「東インド会社」をモデルにした「東インド貿易会社」という架空の貿易会社が登場する。映画では、この貿易会社が所有する海軍の帆船が「カリブの海賊」を追跡し、犯罪者として海賊を逮捕する筋書きになっているが、実在した東インド会社の設立をエリザベス女王に持ちかけ、会社設立の出資金を集めたのは、実は海賊たちであった。 エリザベス女王は金儲けに目がなかった。王室の財政を潤沢にし、イギリスを豊かな国家に成長させるためには、どうしても豊富な資金が必要であった。第一の、そして最大の資金源は、海賊に盗ませた略奪品を転売することであり、第二の資金源は、大物

    略奪で富み、貿易で栄えた大英帝国。躍進の立役者は海賊だった! 『世界史をつくった海賊』より|じんぶん堂
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2024/04/12
    "立派な本社ビルを構えた株式会社をイメージするが初期の東インド会社には本社ビルもなく、名目上の本社はトマス・スミス初代会長の自宅に""あくまでもスパイス貿易で大金持ちや資産家になることを夢見る" →ブクマ
  • アメリカ初の女性兵士たちの戦争:『ハロー・ガールズ』を読む(弓削尚子さん)|じんぶん堂

    記事:明石書店 戦地に渡った電話交換手。背景には数多くの歩兵が描かれている。 書籍情報はこちら ハロー・ガールズとは 英語で電話をかけるとき、「ハロー」と相手に呼びかける。「ガールズ」とは女の子たちを意味する。「何、これ?」と思わせるキャッチーなタイトルだ。副題にある「女性兵士」という言葉がさらに読み手の関心をひく。 第一次世界大戦勃発から3年目を迎える1917年、ウッドロウ・ウィルソン大統領はドイツ帝国との国交を断絶した。アメリカの参戦である。ハロー・ガールズとは、そのとき陸軍通信隊員に選ばれた女性たちのことである。男性兵士は、「歩兵doughboy」や「通信隊員signal corps boys」のように「ボーイ」と呼ばれ、そこには連帯感や思いやり、仲間意識が込められていたという。ガールズという呼称も「褒め言葉」であり、女性通信隊員を軽んじるニュアンスはなかったという。なぜなら、彼女た

    アメリカ初の女性兵士たちの戦争:『ハロー・ガールズ』を読む(弓削尚子さん)|じんぶん堂
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2023/12/11
    "砲撃の中で電話交換業務を行い、一部は将軍と共に、砲弾が降る最前線で交換台に付きっきり""ときに20時間以上の激務に耐え""除隊証明書は発行されず、退役軍人としての支給金も恩典も与えられなかった" →ブクマ。
  • 「南海トラフ地震の真実」 発生確率の「怪しさ」に向き合う 朝日新聞書評|好書好日

    「南海トラフ地震の真実」 [著]小沢慧一 全国の地震、中でも被害が特に大きいとされる南海トラフ地震について政府が発表した「発生確率」は、科学的な根拠が薄い。研究費という甘い汁を吸っていた地震学者らは、怪しいと知りながら、そこに科学のお墨付きを与えていた――。学問の恥部を暴く、痛快で、やがて悲しいノンフィクションだ。 西日の太平洋沖にある南海トラフでは、地震が30年以内に「70~80%」の確率で起きると、政府は予測している。著者の地道な取材によると、これはほかの地震より高く出る、特別な方法ではじいた数値だ。 この「えこひいき」がなければ20%程度。でも発生確率が下がれば地震対策費が減り、研究費も減る。政府の委員会メンバーだった研究者たちは、過去の防災対策とのつじつまを合わせたい役所の論理に抵抗しつつも、最後は受け入れたという。 話はまだ終わらない。著者は南海トラフだけでなく、政府が発表した

    「南海トラフ地震の真実」 発生確率の「怪しさ」に向き合う 朝日新聞書評|好書好日
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2023/10/11
    "取材で突き詰めておくべきだった。"" ある人は著者に、「体制が動き出すと研究者も駒でしかなくなる」と打ち明けている。国策と一体化した科学は、ときに科学を忘れる。これは地震学に限らない教訓" →ブクマ。
  • 「民主主義を装う権威主義」書評 露骨な不正を避け公平性を演出|好書好日

    民主主義を装う権威主義 世界化する選挙独裁とその論理 (叢書21世紀の国際環境と日) 著者:東島 雅昌 出版社:千倉書房 ジャンル:政治・行政 「民主主義を装う権威主義」 [著]東島雅昌 民主主義とは競争的な選挙を行う政治体制を指す。この定義が政治学の世界で定着したのは、米ソ冷戦の時代だった。野党の参入の有無という基準には、ソ連を明確に独裁体制として分類できる利点があった。 だが、書によれば、この定義で民主主義と独裁体制を区別できた時代は過去のものだ。米ソ冷戦が終結して30年、今日では独裁体制の8割が選挙を実施し、野党の参加を認めている。 こうした独裁体制は、暴力的な威嚇や選挙制度の操作によって、最初から与党が選挙で圧勝するように仕組む場合も多い。しかし、一部の独裁体制は、あからさまな選挙不正からは距離を取り、大衆的な支持基盤を固めることを重視する。 では、なぜ独裁者が選挙を操作しない

    「民主主義を装う権威主義」書評 露骨な不正を避け公平性を演出|好書好日
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2023/05/09
    "独裁者は小選挙区制を用いて野党を排除し、支持基盤が特に強い場合には比例代表制を用いて公平性を演出する。""民主主義国で広く用いられている制度は、非民主的な目的のためにも使われうるのだ。" →似非民主主義
  • 「旧植民地を記憶する」 侵略を公的に認めることの意味 朝日新聞書評から|好書好日

    旧植民地を記憶する フランス政府による〈アルジェリアの記憶〉の承認をめぐる政治 著者:大嶋 えり子 出版社:吉田書店 ジャンル:政治・行政 「旧植民地を記憶する」[著]大嶋えり子 他国への侵略行為が目の前で起きた時、それを批判する足場の一つは、過去の侵略がもたらした被害の記憶である。だからこそ、旧宗主国の政府が植民地の記憶を公的に認めるか否かは、喫緊の課題なのだ。フランスの加害の記憶を扱った書は、このことを痛感させる。 フランスは、19世紀からアルジェリアを支配し、1962年の独立まで収奪や搾取を続けた。独立戦争時には多くのアルジェリア人を殺害した。フランス軍に参加したアルジェリア人戦闘員を保護することもしなかった。 著者が試みたのは、こうした事実の解明ではない。フランス政府が旧植民地の記憶をどのように承認してきたかをつぶさに追うことだ。 政府は加害の記憶を公的に認めてこなかった。補償や

    「旧植民地を記憶する」 侵略を公的に認めることの意味 朝日新聞書評から|好書好日
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2022/04/10
    "独立戦争の悲劇を物語りはしても、アルジェリアが植民地時代に受けた抑圧については、ほとんど語らない。フランスの旧植民地の記憶は変わったかにみえて、支配や加害の記憶はいまだ承認されていない" →ブクマ
  • 「妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ」橋迫瑞穂さんインタビュー 本人にしかわからない切実さに目を向けて|好書好日

    屋イベントに登壇する橋迫瑞穂さん(野ゆかこ撮影) 橋迫瑞穂(はしさこ・みずほ) 1979年、大分県生まれ。立教大学大学院社会学研究科社会学専攻博士課程後期過程修了。立教大学社会学部他、兼任講師。専攻は宗教社会学、文化社会学、ジェンダーとスピリチュアリティ、宗教社会学、文化社会学。また、小説ゲーム、マンガなどのサブカルチャーについても研究している。著書に『占いをまとう少女たちーー雑誌「マイバースデイ」とスピリチュアリティ』(青弓社)がある。 批判されるスピリチュアリティ ――今作と前作『占いをまとう少女たち』(青弓社)はどちらも「女性とスピリチュアリティ」がテーマです。どんなきっかけで関心を持つようになったのでしょうか? まず「スピリチュアリティ」は、組織化されていない「宗教的なもの」の現れを示す言葉なのですが、宗教に興味を持った最初のきっかけは、1995年にオウム真理教が起こした地下

    「妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ」橋迫瑞穂さんインタビュー 本人にしかわからない切実さに目を向けて|好書好日
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2021/10/07
    "助産婦だけではなく産婦人科医も一緒になって「お腹を痛めて産んでこそ母親」という言説を広めていたにもかかわらず、産婦人科医が手のひらを返して「自然なお産」を選ぶ女性たちを批判している" →やべえ界隈。
  • 「誰の日本時代」 「ニホンゴデキン」大多数だった 朝日新聞書評から|好書好日

    「誰の日時代」 [著]洪郁如 七年ほど前、台南のとある村を散策していたら、八十代と思われる老婦人に笑いかけられたので、おばあさんお元気ですか、と挨拶(あいさつ)をした。それまでの経験から、日からの観光客を歓迎するこの年代の台湾人には、中国語よりは日語で話しかけるほうが喜ばれると思ったのだ。ところが老婦人は、ニホンゴデキンデキン、と笑う。あたしは台湾語しか喋(しゃべ)れないのよ、と言われてようやく私は、「日統治期台湾」をめぐる自分の想像力の貧しさを悟った。 一八九五年から一九四五年のこの時期を、台湾では「日時代(リッブンシーダイ)」と区分する。 この「時代」に生を受け、幼少期・青少年期を過ごした「台湾人」と「『日語人』は常に等号で結ばれてきた」。とりわけここ日では、九〇年代以降、日のメディアにも頻繁に登場した李登輝に代表される、日統治下の台湾で習得した日語で流暢(りゅうち

    「誰の日本時代」 「ニホンゴデキン」大多数だった 朝日新聞書評から|好書好日
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2021/08/11
    "「戦前の台湾社会ではむしろ、日本語と無縁な『非日本語人』が大多数を占めた」。何しろ「日本統治全期を通して、台湾社会全体にとって識字とは」「一つの希少な技能だった」のだ。" →重要。
  • 「文部科学省」書評 現場に丸投げ 外から間接統治|好書好日

    文部科学省 揺らぐ日教育と学術 (中公新書) 著者:青木栄一 出版社:中央公論新社 ジャンル:新書・選書・ブックレット 「文部科学省」 [著]青木栄一 今年から予定されていた大学入試改革はなぜ混乱を招いて白紙に戻ったか。 文科省が従来の発想のまま民間委託したのが一因だ。書はこう解答する。 これまで文科省は、入試の実施を大学や入試センターに丸投げしてきた。無理を頼みやすい相手だから「兵站(へいたん)無視の作戦」が可能だった。だが企業が、同じようにコストを度外視して動くはずはない。営利活動への認識も甘く、公正性や利益相反に疑義が生じた。 「ゆとり教育」失敗の一因も、やはり文科省の「資源制約を考えない悪い癖」だった。現場の教員の対応力に全面的に頼ったのだ。 書はこのように構造的な問題に注目して文科省の現状を分析する。強調されるのは、文科省の二面性が生んだ「間接統治」だ。 文科省は教育委員

    「文部科学省」書評 現場に丸投げ 外から間接統治|好書好日
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2021/05/01
    "財源もないまま実行を委ねられるのは国立大。自助努力で「身を切る改革」を迫られる。こうした「間接統治」では責任の所在が不明確で、誰も責任をとらない。著者の指摘は説得的だ。" →ニッポソを象徴する
  • 「現代将棋を読み解く7つの理論」あらきっぺさんインタビュー プロ棋士はどんな思考プロセスを踏むのか? |好書好日

    文:安達麻里子 写真:あらきっぺさん提供 あらきっぺ(名:荒木隆/あらき・たかし) 1990年生まれ。2004年、森信雄七段門下で奨励会に6級入会。2016年、奨励会を三段で退会。奨励会退会後もアマチュアとしての活動を続け、第42回朝日アマチュア将棋名人戦全国大会で4位。将棋ブログの運営、将棋教室の講師を務めるなど将棋の普及にも尽力している。 あらきっぺの将棋ブログTwitter 将棋の符号をあまり使わずに言語化 これまでにない将棋の解説書として、将棋を指すファンだけでなく、観戦して楽しむ「観る将(観る将棋ファン)」にも好評という書。将棋の解説書といえば、「▲2四歩△同歩▲7五歩」などの指し手の符号が連なって、少しハードルが高いイメージがあった。しかし書は、符号による説明が少なく、将棋の概念や指し手の意味を分かりやすく説明している点が最大の特徴だ。「相対性理論」「即効性理論」「耐久性

    「現代将棋を読み解く7つの理論」あらきっぺさんインタビュー プロ棋士はどんな思考プロセスを踏むのか? |好書好日
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2021/03/08
    "▲4五桂という攻め方です。これは従来の感覚ではあり得ない手法でした。真冬のロシアでTシャツ一枚で過ごすくらいにあり得ない。でも、最近ではこれが優秀ということが分かってきたんです。" →新傾向と。
  • 「農家女性の戦後史」書評 成長のしわよせに切実な投稿|好書好日

    農家女性の戦後史 日農業新聞「女の階段」の五十年 [著]姉歯暁 1960年代は農家の主婦の万引きが多かったという。母乳が出ないがミルクを買えない、学芸会や運動会でそろえるべき物を買えない。その結果の万引きだった。これは中流農家にも多く見られたという。そこそこ余裕のある家でも万引きが起きた背景には嫁姑問題があった。自由になるお金がほとんどないという嫁の地位、姑に出費を言い出せず、言ってももらえないという状況が発生していた。さんざん働かされる一方で「血筋」からは外れ、土地の分与も稀な不安定な存在。嫁姑問題と単純に矮小化できない事態の根深さに気づかされる。 高度経済成長を支えた労働力は、農村からの出稼ぎに大きく依存した。田畑を任された嫁たちは、家事に加えて農業の主体とならざるを得ず、耕運機使用による流産や農薬の影響をもろに受けた。「日農業新聞」の投稿欄「女の階段」への投稿者たちへの著者のイン

    「農家女性の戦後史」書評 成長のしわよせに切実な投稿|好書好日
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2021/02/10
    "北欧型福祉国家では高齢者の自殺率が高いという誤情報と共に、独自の家族関係を強調する日本型福祉社会が叫ばれたが、1972年当時、実際に高齢女性の自殺率が最も高いのは日本だったという" →日本の暗黒
  • スーザン・ネイピアさん「ミヤザキワールド 宮崎駿の闇と光」インタビュー 巨匠の世界観の深淵に米研究者が迫る|好書好日

    文:ハコオトコ 写真:斉藤順子 スーザン・ネイピア米タフツ大学修辞学・日研究コース教授 専門はアニメーションと日文化。1955年生まれ。ハーバード大学で84年、三島由紀夫・大江健三郎研究で博士号取得。テキサス大学教授などを経て現職。著書に『現代日のアニメ――「AKIRA」から「千と千尋の神隠し」まで』(神山京子訳、中公叢書)。 「ナウシカ」は大人向けの娯楽と気付いた ――作では、宮崎アニメが生み出された背景や作品世界の裏にある監督の真意について、膨大な資料や宮崎駿人へのインタビューを踏まえ、彼の個人史や時代背景についても緻密に分析しています。日でもアニメを高度な文芸作品として研究するようになったのは比較的近年です。もともと米国で日文学を専攻していたネイピアさんが日アニメを研究するきっかけは何でしょうか? 私が若い時、米国では「アニメや漫画は一切研究する価値が無い」と言われて

    スーザン・ネイピアさん「ミヤザキワールド 宮崎駿の闇と光」インタビュー 巨匠の世界観の深淵に米研究者が迫る|好書好日
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    haruhiwai18 2020/12/07
    "最近、若い米国人は考え方がちょっと狭くなっていると感じます。特に国際問題に興味を持つ人が減ってきている""今や世界は狭くなったのに、他の国に興味を持たずパスポートも所持していない米国人すら" →とな
  • 「アイヌを知る」とは、本でひもとく 文化担う人々への抑圧も見よ 北原モコットゥナシさん|好書好日

    アイヌ施策推進法はアイヌの誇りの尊重を掲げる。その誇りは、どのように損なわれ、どう回復できるのか。抑圧が常態化した状況では、加害者も被害者も俯瞰(ふかん)的な視点を持ち難い。 阿寒湖畔アイヌコタン出身の瀧口夕美は、そうした経験を『民族衣装を着なかったアイヌ』に率直に書いている。「アイヌとは?」「あなたはアイヌ?」という気軽な問いは厄介だ。そうだと言えば「では純粋か?」と言葉が続く。反対に「純粋な和人とは」と問われたら答えられるのだろうか。こうした問いを一方的に向けること自体、対等な関係ではない。 「アイヌらしさ」とは、例えば容姿と生活習慣、血縁などか。だが、容姿も生活習慣も世代を経れば変化することがある。血縁やアイデンティティーは有(あ)っても見えない。すると「いる」と気づかれず、言っても気にされないこともある。アイヌの認知度が低い土地で育ち、言語も知らなければ、周囲との違いを説明するの

    「アイヌを知る」とは、本でひもとく 文化担う人々への抑圧も見よ 北原モコットゥナシさん|好書好日
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2020/10/24
    "その文化や担い手を抑圧する構造を見なければ、単なる消費や収奪ともなる。「黒人文化だけでなく黒人も愛してほしい」というBLM運動から発せられた言葉は、アイヌの状況にもそのまま重なって" →至言。
  • 「日本の納税者」書評 「納税は権利」根付かぬ背景は|好書好日

    の納税者 [著]三木義一 「納税は国民の権利だ」というと、怪訝(けげん)な顔をされる読者も多いだろう。「納税は義務だ」というのが、我々の常識的な受け止めだからだ。実際、日国憲法第30条には、国民の納税義務が謳(うた)われている。 だが、欧米では実は、市民革命を経て納税は「国民の権利」として確立したのだ。つまり、王政(国家)の無謀な課税から保護される権利、国民の同意なしに課税されない権利、納税するからには予算編成に参画し(議会の役割)、支出を監視し、コントロールする権利である。これは「主権者」としての国民の権利行使を、財政面から担保している。 にもかかわらず、来は国家に対して納税者主権を要求すべき議会が、日では逆に戦後憲法の制定過程で、政府原案にもなかった納税義務規定を入れさせたというショッキングな事実も、書によって明かされている。 この結果、納税者の権利保護はきわめて薄弱である

    「日本の納税者」書評 「納税は権利」根付かぬ背景は|好書好日
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2020/06/09
    "民主党政権下で、1970年代から世界各国で制定されつつある「納税者権利憲章」を策定、日本の納税者主権を前進させようという試みはあった。しかし嫌がる財務省をはじめ、「権利」への強い抵抗が" →中世国家
  • GHQが「洗脳」?実態は 賀茂道子さん、保守論壇「自虐史観植え付けた」説を史料で探る|好書好日

    「ウォー・ギルト・(インフォメーション・)プログラム」という言葉が保守論壇で流行している。第2次世界大戦後の占領軍の計画で、日人は洗脳され、自虐史観に塗り替えられたというのだ。その全体像を膨大な史料から探った著作が公刊された。当に日人は洗脳されたのか。研究の結果から著者は「洗脳されたとは思えない」という。 「体系的な施策ではなかった」 著作は『ウォー・ギルト・プログラム――GHQ情報教育政策の実像』(法政大学出版局)。著者は賀茂道子・名城大学非常勤講師(日政治外交史)だ。 この言葉は、文芸評論家の故・江藤淳氏が1989年の『閉(とざ)された言語空間』(現在は文春文庫)で紹介した。GHQ(連合国軍総司令部)の文書から見つけた江藤氏は、「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」と表記した。現在の保守論壇はWGIPと略す。 ◇ 代表的な施策が二つあったとされる。GHQの一部門CI

    GHQが「洗脳」?実態は 賀茂道子さん、保守論壇「自虐史観植え付けた」説を史料で探る|好書好日
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2020/06/07
    "「真相はこうだ」ではすでにA級戦犯として逮捕されていた広田弘毅元首相を評価していることなどから、プログラムの当初は46年5月開廷の東京裁判を見据えてはいなかった、というのが賀茂氏の見立" →ここも重要
  • 「あしたの地震学」書評 「想定外」避け予想規模が巨大に|好書好日

    あしたの地震学 日地震学の歴史から「抗震力」へ [著]神沼克伊 切迫していると地震学者が力説する地震が起きていないのはなぜか。 地震学者らの発言の変化に疑問を感じる著者が、地震研究史を振り返りつつ、政策とのかかわり、研究者のあり方を考えていく。 人間の一生に比べて、地震のタイムスケールは長く、しかも地下深くに観測網を敷けない。天気予報のような理論も確立されていない。百年余りの歴史を振り返ると、「『大地震の予知、予測』の面では、ほとんど進歩がない」のだ。 にもかかわらず、社会の関心が高く、学者たちの発言は注目を集める。人目を引く「研究成果」をまとめれば、学界で検証をされていなくても社会に伝わる。裏付けに欠ける持論を力説する立派な肩書の学者もいる。研究者が防災を強く語り始めると、科学と啓発との境界が見えにくくなる。 それを一般の人々が選別するのが難しいだけに発言は重い。「自説の発表には厳しい

    「あしたの地震学」書評 「想定外」避け予想規模が巨大に|好書好日
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    haruhiwai18 2020/05/10
    "知見が十分でない分野は、政治家や役人が望む方向に進められるよう科学的結論を合わせることも、科学的事実のつまみ食いもできる。結果、政策判断の責任の所在がぼやける。" →新型コロナの話かと思った
  • 「戦前反戦発言大全」髙井ホアンさんインタビュー 落書きや投書に残された戦時下の庶民の本音|好書好日

    髙井ホアン(たかい・ほあん)小説家・作家・ライター 1994年生まれ。日人とパラグアイ人のハーフ。高校時代から反権力・反表現規制活動を行う中、戦前の庶民の不敬・反戦言動について知り、そのパワフルさと奥深さに痺れて収集と情報発信を開始。2013年からTwitter上で「戦前の不敬・反戦発言Bot」「神軍平等兵 奥崎謙三Bot」などを運営中。小説家として株式会社破滅派よりJuan.B名義で電子書籍『混血テロル』『天覧混血』を刊行中。 パラパラとページをめくり、たまたま目に入った一文に大きく頷いてしまう。 「忠義を尽くして死んで金鵄勲章を貰えば何になるか、戦争なんか馬鹿のすることだ」 昭和13年5月、宮崎県で45才の男性が乗合自動車中で発したもので、言ったこの人は禁錮4カ月の刑の処されている。 『戦前反戦発言大全』(合同会社パブリブ)と題された600ページ近い分厚いには、昭和12年~19年に

    「戦前反戦発言大全」髙井ホアンさんインタビュー 落書きや投書に残された戦時下の庶民の本音|好書好日
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    haruhiwai18 2020/04/23
    "敵が上陸して日本人を皆殺しにすると宣伝して居るが、それは戦争を続ける為に軍部や財閥が国民を騙して言うことで自分は米英がその様な残虐なことをするとは信ぜられん』というのは、誠にもっとも" →だろうな。
  • 『草はらに葬られた記憶「日本特務」』書評 対日協力者の苦難と民族の分断|好書好日

    草はらに葬られた記憶「日特務」 日人による「内モンゴル工作」とモンゴル人による「対日協力」の光と影 著者:ミンガド・ボラグ 出版社:関西学院大学出版会 ジャンル:歴史・地理・民俗 草はらに葬られた記憶「日特務」 日人による「内モンゴル工作」とモンゴル人による「対日協力」の光と影 [著]ミンガド・ボラク モンゴルの草原を馬で走ったことがある。遠くに馬の群れのように走る一団がいて、ラクダだった。砂漠地帯ではラクダを馬代わりに使う。南下すればゴビ砂漠を含む中国の内モンゴル自治区が広がっていることを実感した。日ではほとんど忘れ去られているが、内モンゴルは近代日が長らく関与し続けた地域だ。東部は旧満州国(中国東北部)に組み込まれ、組み込まれなかった西部も関東軍が各地の役所に日人顧問を派遣し、政界を掌握した。初等教育では日教育が行われ、各地に日特務機関がおかれ、植民地といっていい状

    『草はらに葬られた記憶「日本特務」』書評 対日協力者の苦難と民族の分断|好書好日
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    haruhiwai18 2020/01/20
    "多くのことが忘却されている。とりわけ、モンゴル人の英雄である「チンギス・ハーン=義経説」を現地に押し付け教育していたことは驚いた。有名な珍説を笑って語る前に、日本人が知らなければいけない…" →歴史。
  • 若者の政治意識 自明性を失う「保守」と「革新」 宇野重規・東京大学教授|好書好日

    「保守」と「革新」という政治的ラベルが時代遅れになったと言われて久しい。にもかかわらず、日の有権者が政治をとらえるにあたって、この対立軸はまだ有効性を失っていないようだ。ただし、「保守」と「革新」が何を意味するかについては、かなりの変化が見られる。 遠藤晶久とウィリー・ジョウによる『イデオロギーと日政治』によれば、高齢者が共産党をもっとも革新的な政党と見ているのに対し、若年層は日維新の会をもっとも革新的と考えているという。これは50代の筆者にとって驚きの指摘である。 日政治においては長く、憲法や安全保障といった争点を中心に保守と革新の対立軸が形成されてきた。「大きな政府」か「小さな政府」といった社会的・経済的な次元ではなく、あくまで日米安保や防衛力の強化がイデオロギーを決める最大の争点であり続けたのである。 これに対し、40代以下の層においてはむしろ、「既得権益への挑戦」や「改革派

    若者の政治意識 自明性を失う「保守」と「革新」 宇野重規・東京大学教授|好書好日
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2019/08/22
    "与党支持がかろうじて残っているのに対し、野党支持が劇的に減った""投票に行った人に限って言えば、与党支持が相対的に多くなる。したがって、いまや自民党は若年層にこそ支持されているという議論は誤り" →ふむ