himaginaryとblogに関するharumanachikaのブックマーク (227)

  • 交易利得とニュメレール・デフレーター - himaginary’s diary

    少し前のはてぶで、交易利得の計算におけるニュメレール・デフレーターは輸出入の寄与を人為的に均等化している、と書いたが、その点について少し補足しておく。 名目輸出をX、名目輸入をY M、実質輸出をx、実質輸入をy mとすると、ニュメレール・デフレーターは (X+M)/(x+m) と定義される。輸出入の名目値は実質値にデフレータを掛けたものに等しいので、これは結局、輸出入デフレータを実質輸出入で加重平均していることになる。 交易利得は 名目純輸出/ニュメレール・デフレーター − 実質純輸出 なので、上の記号を用いれば (X-M)(x+m)/(X+M) - (x-m) として表わされる。これを各純輸出の輸出と輸入ごとにまとめると、 (X-M)(x+m)/(X+M) - (x-m) = X(x+m)/(X+M)-x - M(x+m)/(X+M)+m = 2(Xm-Mx)/(X+M) = 2(m/M

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  • 交易条件がGDPデフレータに与えた影響 - himaginary’s diary

    「散歩から探検へ〜政治を動かすもの」ブログの「黒田バズーカ砲は華麗なる空砲か(4)〜「雀を羆にすり替え」齋藤誠〜」と題された4/29付けエントリで、消費者物価は安定していたが、GDPデフレータが下がったためにデフレ感が蔓延していた、然るにそのGDPデフレータと消費者物価指数の動きの違いは交易条件によるものだった、という論考がなされている。 試しにGDPデフレータと国内需要デフレータとCPI(生鮮除く)の年度ベースの値を描画すると、以下のようになる*1。 確かにこれを見ると、概ねフラットに推移しているCPIに比べ、GDPデフレータの低下傾向が著しい。ただ、国内需要デフレータも、GDPデフレータほどでは無いにせよ低下傾向にあり、交易条件が両者の差をもたらしたわけではないことが分かる。 上図を前年比ベースで描画すると以下のようになる。 これを見ると、次のことが読み取れる。 CPIと国内需要デフレ

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  • 出生率と女性の労働参加率の関係 - himaginary’s diary

    昨日に続き出生率絡みの論文を紹介してみる。 以下は10年前のドイツはマックスプランク人口研究所のTomas Kögelの論文「Did the Association Between Fertility and Female Employment Within OECD Countries Really Change its Sign?」の要旨。 Recent literature finds that in OECD countries the cross-country correlation between the total fertility rate and the female labor force participation rate, which until the beginning of the 1980s had a negative value, has sinc

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  • 死を尺度とした失業の不効用のフェルミ推定 - himaginary’s diary

    をクリス・ディローが試みている。 以下がその手順。 英国家統計局による0-10スケールの生活満足度調査によると: 失業者の平均は6.47で、非失業者の平均は7.53。従って、不平家が失業しやすいという逆の因果関係が無いとすれば、失業の不効用は1.06。 結婚している人の平均は7.72で、配偶者に先立たれた人の平均は7.26。従って配偶者の喪失の不効用は0.46。 ある人の死が配偶者以外の20人に同じ悲しみをもたらしているとすれば、その死の不効用は21×0.46=9.66。 労働市場フロー調査によると、2012年第4四半期に248万人のうち59.5万人が失業状態から雇用状態に移行した。従って、失業の平均期間は1年であると見積もられる。 Andrew Clark and Yannis Georgellisによると、配偶者の死を乗り越えるのに平均して男性は1年、女性は3年掛かるという。ここでは2

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  • 経済のサービス化は景気回復を遅らせる - himaginary’s diary

    という論文をCarola Binderが紹介している(H/T MR)。INETの資金提供で2011年に設立されたバークレー経済史研究所(The Berkeley Economic History Laboratory=BEHL)が今年初めに立ち上げたワーキングペーパーシリーズに登録された論文の一つで、著者はカリフォルニア大学バークレー校のMartha Olneyと、シエナ大学(ただしイタリアの大学ではなくNYのカレッジ)のAaron Pacitti。論文の原題は「Goods, Services, and the Pace of Economic Recovery」。 以下はその要旨。 Do service-based economies experience slower economic recoveries than goods-based economies? We argue th

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  • 生産性あれこれ - himaginary’s diary

    A Fine Theoremというブログで、シカゴ大学のChad Syversonが生産性について書いたサーベイ論文「What Determines Productivity」を紹介している(H/T EconAcademics.org)。 以下はそのブログエントリの概要。 SICの4桁分類を基に同一産業内の生産性の違いを調べたところ、上位10%と下位10%では平均して生産性に2倍の差があることが分かった(Chad Syverson (2004)[WP])。 Chang-Tai Hsieh and Peter J. Klenow (2009)[WP])は中国とインドではその差がもっと大きいことを見い出した。 この結果は生産性の異なる尺度や、差の評価に関する異なる手法に関して頑健である。 理論上は新規参入が自由に許されていれば低生産性企業は淘汰されるはずである。従って低生産性企業の存続は、新規

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  • 自然利子率は低下していない? - himaginary’s diary

    少し前に、クルーグマンのマイナス均衡実質金利論への日経済学者の反論を紹介したことがあったが、最近米国の経済学者からも同様の反応があった。具体的には、Stephen Williamsonがブログエントリ(邦訳)で、自然利子率が負のショックによって低下したとは信じられない、と述べた*1。エントリのコメント欄でWilliamsonは、そもそも自然利子率など持ち出すのが間違っている、という趣旨のことまで書いている: All this natural rate talk is confusing things. Think of the natural rate as the real interest rate if policy is optimal, within the class of feasible policies. The way I'm thinking about it,

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  • ドラギが明らかにした欧州危機の主因 - himaginary’s diary

    Social Europe Journalという電子ジャーナルで、アンドリュー・ワット(Andrew Watt)*1が3/14のEUサミットにおけるドラギ講演の問題点を指摘している(H/T Economist's View)。 それによると、ドラギはグラフを用いて以下の点を示したという: 経常黒字国(オーストリア、ベルギー、ドイツ、ルクセンブルグ、オランダ)における生産性の伸び率は経常赤字国(フランス、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ポルトガル、スペイン)よりも高い。 しかし、賃金の上昇率は後者の方が大きい。 構造改革と賃金の抑制は成功をもたらす。硬直化した構造と貪欲な労働組合は失敗をもたらす。 フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥングによると、この講演を聞いていたオランド仏大統領は、財政緊縮策に反対し成長刺激策を求めていたにも関わらず、欧州(ないしその一部の国)の問題点を示す明白

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  • DSGEの泥沼 - himaginary’s diary

    ここで紹介した論文を話のとば口として、ノアピニオン氏がDSGEの問題点を3つ挙げている: ほぼすべてのDSGEの結果は線形化の結果である。もし線形化を外すと、複数均衡が現われ、DSGEモデルの前提が成立している架空の世界の経済についてさえ、意味のあることが言えなくなる(このパラメータがこの値以上ならばこちらの均衡、それ以外の場合はこちらの均衡、という定量的な話はDSGEの能くするところではない)。換言すれば、現実を上手く表現できているか否か以前に、ほとんどのDSGEは自分自身を上手く表現できていない。 利用可能なものとするためには、DSGEモデルには単純化が大いに必要。非線形ニューケインジアンモデルはあまりにこんがらがっているので解くことができず、シミュレーションするしかないことが多い。また、資投資も取り込めないが、投資は景気後退時に最も大きく振れるGDPの構成要素なので、この省略は問

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  • 割引率は一つではない - himaginary’s diary

    引き続き割引率ネタだが、今度は温暖化対策のような長期の話ではなく日常のタイムスパンにおける割引率の話。 表題の件を実証した論文をEconomic Logicが紹介している。 以下はその要旨。 This paper tests the broadly adopted assumption that people apply a single discount rate to the utility from different sources of consumption. Using unique data from two surveys conducted in rural Uganda including both hypothetical and real choices over different goods, the paper elicits time preference

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  • ケインズのフィッシャー批判の矛盾? - himaginary’s diary

    昨日紹介した論文では、商品によって割引率が異なることを論証していた。これは今までの経済理論の前提を覆す話、とのことだったが、既にケインズの一般理論の第17章では、彼が自己利率と呼んだものは商品ごとに違うことをほぼ自明としている。山形さん訳から該当箇所を引用すると: ここから、商品がちがえばその利率*1が同じであるべき理由はないことになります——小麦利率と銅利率は同じでなくてもいいはずです。スポット物と先物契約の関係は、市場価格を見ると、商品ごとにずいぶんちがうことで悪名高いのです。これから見るように、これこそが求めているヒントにつながります。というのも、こうした自己利率(とでも呼びましょう)のうち最大のものがすべてを牛耳ることになるかもしれないのですから(なぜかというと、資的資産が新たに生産されるためには、限界効率がそうした自己利率の最大のもの以上でなくてはならないからです)。そして、お

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  • 最低賃金引き上げが失業につながらない7つの理由 - himaginary’s diary

    引き続き最低賃金に関するエントリ。 John Schmittの最低賃金に関するサーベイ論文をWonkblogが要約し、最低賃金が雇用にあまり影響をもたらさない理由の候補を7つ挙げている(H/T Rortybomb): 雇用者は、最低賃金引き上げに対応して労働者を減らす代わりに、医療補助や労働時間や訓練を削減することができる ただし、その点を明確に示した実証研究は存在しない。 雇用者は、高賃金労働者の賃金をカットすることによって最低賃金引き上げに対応できる ある論文によると、最低賃金引き上げに直面した雇用者の半数は、熟練労働者の昇給やボーナスを遅らせたり減らしたりしたという。 低賃金労働者の方が消費性向が高ければ、GDPを押し上げる可能性もある*1。 企業は商品の価格引き上げでコストを転嫁できる あるサーベイ論文によると、10%の最低賃金引き上げは4%の値上げにつながる。 企業は利益の減少を

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  • 最低賃金がEITCより好まれる理由 - himaginary’s diary

    昨日と一昨日は、最低賃金とEITCの補完関係について論じたRortybomb経由でリー=サエズの論文を紹介したが、Economist's ViewのMark ThomaもCBSのmoneywatchコラムで最低賃金とEITCの関係について論じていた。ただしそこでは、両者の政策としての実行可能性が比較されている。 Since the employment effects of the minimum wage appear to be small, but there is enough counter-evidence to raise questions about this conclusion, an obvious question is whether there is a better way to raise the incomes of low-income workers

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  • 競争的労働市場での最適な最低賃金政策・補足 - himaginary’s diary

    昨日紹介したリー=サエズの論文と小生の以前のエントリについて、一点補足しておく。 小生のそのエントリに対しては、大竹文雄氏から、昨日紹介した雇用の優先順位(リー=サエズのいわゆる効率的割り当ての問題)に関するもの以外に、以下のコメントを頂いた*1。 仮に、労働者としての消費者余剰が最低賃金上昇によって増加しても、生産者余剰は確実に減少し、その効果が上回るので社会的な総余剰は確実に減少する。 然るに、リー=サエズでは最低賃金の導入によって社会的な総余剰は増加する、という結果を導き出している。これは如何なる理由によるのであろうか? 以下に、論文の図を再掲する。 ここで赤の四角形から緑色の三角形の下半分を差し引いたものが最低賃金の導入によって生じる労働者としての消費者余剰の増加であり、赤の四角形に緑色の三角形の上半分を加えたものが労働の需要者たる生産者の余剰の減少である。従って、緑色の三角形の分

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  • 競争的労働市場での最適な最低賃金政策 - himaginary’s diary

    オバマ大統領が一般教書演説で最低賃金を7.25ドルから9ドルに引き上げるよう提案したことを受けて、エコノブロゴスフィアが最低賃金を巡って俄かに騒がしくなった。そんな中、EITCと最低賃金は代替的手段ではなく補完的手段である、と述べたマイク・コンツァルのエントリに、クルーグマンが「this is news to me」としてリンクした*1。 コンツァルは、EITCと最低賃金の「相補性原理」のソースとして、自らがインタビュアーとなってまとめた労働経済学者Arindrajit Dubeのインタビュー記事を挙げているが、彼がリンクしたジャレッド・バーンスタインも同様のことを述べている。コンツァルはさらに、こうした見解の理論的裏付けとして、David LeeとEmmanuel Saezの論文「Optimal Minimum Wage Policy in Competitive Labor Marke

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  • クルーグマンのマイナス均衡実質金利論:日本の経済学者の受け止め方 - himaginary’s diary

    クルーグマンが「It's Baaack」論文で日の流動性の罠の原因を人口減少に求めていた、という点を、最近uncorrelatedさんが頻りに強調されている(例:こちらのブログエントリやこちらのツイート)。そこには、日の論者がその点をスルーしてきた、という含意が込められているようである。だが実際には、その点も日経済学者によって議論されてきた。例えば、均衡実質金利を実際に測定した鎌田康一郎氏の論文*1では以下のように記されている: ただし、ここでの結果は、必ずしもクルーグマンの議論をサポートする材料とはなっていないようである。Krugman[1998]では、負の均衡実質金利の原因を高齢化と労働人口の減少に求めている。仮にその議論が正しいとすれば、負の均衡実質金利は持続的な現象となるはずである。しかし、稿の結果をみると、均衡実質金利の推計値は、その多くが、2000年代初頭に正値に転じ

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  • オークン則は健在なり - himaginary’s diary

    というvoxeu記事をローレンス・ボールとIMFの研究者(Daniel Leigh、Prakash Loungani)が書いている(原題は「Jobs and growth are still linked (that is, Okun’s Law still holds) 」)。元ネタのNBER論文*1は「オークン則:50歳にして健康?(Okun’s Law: Fit at 50?)」と題されており、fitの2つの意味(健康と適合)を掛けた形になっている。また著者の3人はEconbrowserの1/9エントリにも寄稿しているほか、IMFセミナーでのプレゼン資料がこちらで読める。 voxeu記事で著者たちは、まず以下の図を提示する。 これは、大不況における各国の山から谷までの生産変化と失業率変化との関係をプロットしたものだが、ほぼ無相関という結果になっており、これだけを見るとオークン則はもは

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  • 格差拡大は経済成長の減速要因か? - himaginary’s diary

    というスティグリッツとクルーグマン(追加エントリ)の間で軽く論争になったテーマについて、スティーブ・ワルドマンが考察している。 彼はまず、格差拡大が無条件に過少消費につながることは無い、として、その点ではクルーグマンを支持している。 と同時に、富裕層は確かに貯蓄率が高い、ということを示した研究を幾つか挙げ、その点ではクルーグマンはきちんと文献を渉猟していない、と(暗に)批判している。 では、なぜ大平穏期には、格差拡大が続く一方で富裕層が貯蓄を拡大したにも関わらず、需要は強いままだったのだろうか? ワルドマンはその答えを、一般家計の借り入れ拡大に求める。そしてそれを可能ならしめたのは、実質金利の低下傾向にあった、と言う。その上で、そうした実質金利の低下傾向は、需要維持のために中央銀行によってもたらされた、とワルドマンは説明する。他の説明――例えば、技術や人口動態によって実質金利低下がもたらさ

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  • 流動性の罠にはゼロ金利は関係無い・再訪・続き - himaginary’s diary

    昨日紹介したクルーグマンとワルドマンの議論はその後も続き、1/17付けでクルーグマンがワルドマンへの再々反論のエントリを立てた。そこでクルーグマンは、準備預金への付利は、FRBが非ゼロ金利時に総需要に大きな影響を及ぼす力を有しているという事実も、政府債務で賄う財政赤字と貨幣発行で賄う財政赤字には大きな違いがあるという事実も変えはしない、と述べている。 ちなみに、同エントリでクルーグマンがリンクしているように、FT Alphavilleのイザベラ・カミンスカもこの議論に注目し、1/16付けでまとめエントリを立てている。カミンスカがこれに注目したのは、ブログでも昨年9/13エントリで紹介したように、準備預金への付利を撤廃すると金融市場に混乱が起きる、というのがFT Alphavilleのかねてからの立場だからである*1。 一方、ワルドマンの1/15エントリのコメント欄にRebelEconom

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  • 流動性の罠にはゼロ金利は関係無い・再訪 - himaginary’s diary

    1年半ほど前に、流動性の罠にはゼロ金利は関係無い、というStephen Williamsonの主張を以下のように紹介したことがあった: 彼はまず、名目金利は交換媒体としての貨幣の稀少性を表わすもの、と定義している。そして、その名目金利がゼロに達すると、交換媒体としての貨幣の稀少性は消滅し、貨幣は他の金融資産と何ら変わらなくなる、と述べている。・・・ しかしWilliamsonは、この時に生じる流動性の罠を「祖母の時代の流動性の罠(Grandma's liquidity trap)」と呼び、現代の流動性の罠(contemporary liquidity trap)はもはやこれとは違ってきている、と論じている。というのは、今は貨幣ではなく準備預金が日々の金融取引において重要な流動性資産となっているからである。特に現在は準備預金には金利が支払われているため、ゼロ金利は流動性の罠と切り離された、と

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