2024年7月に、5年ぶりとなる新しい公的年金の将来見通し(財政検証結果)が公表された。今回の将来見通しでは、これまで公表されてきた法定のモデル年金や所得代替率に加えて、厚生年金加入期間の変化を反映した将来世代の平均年金額や年金額の分布が、初めて公表された。年金額分布の推計は、将来の低年金者に対する懸念などから、社会保障審議会年金数理部会などの有識者が以前から要望していた。今回は、2020年の法改正時に、同部会の指摘に基づいて検討を求める附帯決議が参議院で行われたことを受けて、公表された。 これまで公表されてきた法定のモデル年金は、40年間保険料を納めた場合の基礎年金の2人分と、現役男子の平均的な給与や賞与で40年間厚生年金に加入した場合の厚生年金(報酬比例部分)の合計になっている。平易な例を挙げれば、夫が40年間平均的な賃金で正社員として働き、妻が40年間国民年金のみの加入者であるような