今月末に発売になった新刊『ウェブ社会のゆくえ』のまえがきの抜粋です。 現実とウェブが融合する時代 図0-1と図0-2を見て欲しい。 このふたつの世界地図はそれぞれ、宇宙から見た地球の夜間の明かりと、フェイスブック(Facebook)のユーザーのつながりを示したものだが、その姿は奇妙なほどに似通っている。両者の地図を見比べるとき、私たちは、世界中どこからでも別の場所につながることができるはずのウェブが、実は現実の世界の写し絵であり、現実から切り離されたバーチャルな世界をイメージしていてもほとんど意味がないということを思い知らされるのではないか。 そしてもうひとつ、ふたつの図の間には大きな違いがある。それは、中国においては夜間の明かりは灯っているのに、フェイスブックのユーザーを地図に落としたときには、そこは暗黒の世界であるということだ。いわゆる「グレートファイヤーウォール」と呼ばれる国家レベル