セラピー文化の社会学 [著]小池靖 [掲載]週刊朝日2007年11月09日増大号 [評者]永江朗 ■自分探しがいつのまにやら詐欺のワナに 「巨額詐欺か」と言われるL&G問題の行方が気になる。いつ刑事事件として立件されるのだろう。「被害者」のお金は返ってくるのか。波会長は集めた金を何に使ったのだろう。 ネズミ講だのマルチ商法だの、昔からこの種の事件は絶えない。そのたびに「なぜ引っかかる人がいるのだろう?」と思う。どう考えてもインチキ話。百歩譲ってもうさんくさい話。判断力のない人がそんなにたくさんいるのか。それとも欲の皮が突っ張りすぎて感覚が麻痺したのか。 納得できる説明をしてくれる本はないかと探していたら、見つけた。小池靖『セラピー文化の社会学』である。 この本は、ネットワークビジネス、自己啓発セミナー、トラウマ・サバイバー運動の3つを「セラピー文化」と捉えて社会学的に分析したもの。博士論文