インドの一流実業家であるラタン・タタ氏が世界一安い車を、ラテン語で小人を意味する「ナノ」と名づけた時、彼が考えていたのは車のサイズであって、販売台数ではなかった。 2009年4月の発売時にタタ氏は自信を持って、同氏が「国民車」とも呼ぶナノの販売台数は月間2万台に上るだろうと予想した。 だが、国民はあまり買っていない。タタ・モーターズが11月にインドの顧客に納車したナノはたった509台で、「メルセデス」の販売台数より少なかった。 メルセデスよりも売れない「国民車」 高級車ブランド「ジャガー」「ランドローバー」を傘下に抱え、インド国内で「インディカ」「インディゴ」などの乗用車を生産し、トラックメーカーとして世界第4位、バスメーカーとして世界第2位の規模を誇るタタ・モーターズ。その同社を率いるタタ氏にとって、ナノのお粗末な売れ行きは汚点となる。 プロジェクトが打ち切られることはないだろうが、タタ