「きみはアルジェリア国歌を聴いたことがあるか」-。サッカーのワールドカップ(W杯)で初めて決勝トーナメントに進んだアルジェリア(アフリカ代表)。6月30日、ドイツとの8強をかけた熾烈な戦いはW杯史に深く刻まれることだろう。試合前、ピッチの選手もスタジアムのサポーターもやや興奮気味に、体を揺らして国歌を歌っていた。ディズニーのミッキーマウス・マーチのようなアップテンポなイントロだが、やがて兵士が勇猛果敢に進軍するような曲調に変わる。この国の悲痛に満ちた歴史を知れば、大合唱の理由が見えてくる。 ■「誓い」に込められた意味 1830年代、フランスの植民地化政策は地中海を隔てたアルジェリアに向かっていた。アルジェリア戦争に代表される両国の対立の構図は複雑かつ厄介だ。 そもそも、アルジェリア戦争のとらえ方が180度異なる。アルジェリアでは民族解放のための「戦争」としての位置づけが強いのに対して、フラ