福岡ダイエーホークス、福岡ソフトバンクホークスの投手として活躍した田之上慶三郎さん(52)は、ホークスのコーチを昨秋で退き、カフェのマスターとして接客の世界に飛び込んだ。決断の背景には、妻の真喜子さん(54)に寄り添い、支えたいとの思いがあったそうだ。福岡県糸島市のJR筑前前原駅そば、カフェ「itoshimacco(いとしまっこ)」で夫人とともに第二の人生を歩み始めた田之上さんを訪ねた。 今度は自分が支える番だ 田之上さんは1989年、指宿商高(鹿児島県)からドラフト外でダイエーに入団した。厳しいプロの世界では二軍のマウンドに立つのも難しく、「戦力外通告」という言葉が何度も脳裏をよぎったという。一軍での初登板は7年目の1996年。オリックスのリーグ優勝が決まったあとの消化試合だった。 初勝利はその翌年。地道に努力を重ねた遅咲きの右腕は、チームの大黒柱に成長していく。2001年には13勝7敗