TVアニメ『バトルアスリーテス大運動会 ReSTART!』とオリンピック批判の最前線:アスリートとの連帯は可能なのか はじめに最も肉体と共同体に近いものでありながら、同時に最もそれから遠いものにもなりうる文化感性のきわどい接合部がスポーツと、そしてファンの世界(ファンダム)である……その異様な盛り上がりは、誰しもすぐにそれと分かるいかにもという倒錯趣味などより、一見健康に見える分、よほど「世紀末的」な兆候なのだ。 (高山宏『ガラスのような幸福:即物近代史序説』五柳書院、1994年、173頁) 新型コロナウイルス感染症の拡大が続くなかで強行された2021年の“TOKYO 2020”によって、オリンピック・パラリンピックの抱える無数の矛盾と欺瞞が人々の目に明らかとなっている。そんな折、オリンピック批判と受け取れるTVアニメが製作・放送されていたことは注目に値する。東京オリンピック開幕の直前、2