バーンという爆発音、叫び声。そして、土煙でカメラの画面が真っ白になる。2023年10月13日、イスラエル軍の砲撃で亡くなったロイター通信の写真記者、イサム・アブダラ氏が撮影した最後の映像だ。 レバノン南部の丘からイスラエル軍の越境攻撃を撮影していた報道陣への攻撃は2度。直撃を受けたアブダラ氏は即死し、中東の衛星テレビ局アルジャジーラのカメラマンら6人が負傷した。 全員が「プレス」と書かれた防弾チョッキを身につけ、車には「TV」と明示してあった。攻撃前に偵察機が上空を何度も飛んでいた。 米国の非営利組織「ジャーナリスト保護委員会」(CPJ)は、この件をイスラエル軍が記者を意図的に狙った「殺人」と認定した。記者を含む民間人の殺害は戦争犯罪だ。 CPJによれば、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が激化した23年10月7日から24年2月6日までに、パレスチナ自治区ガザとその周辺で少なくとも85人