<欧米や日本からの違法ごみがマレーシアへ――「プラごみ戦争」終結のためには送り出し先の先進国も協力すべきだ> 5月下旬の炎天下、私はマレーシアのクラン港に立っていた。目の前には海を渡ってきた「プラスチックごみ」のコンテナが並び、当局の検査を待っていた。中身はまちまちで汚染されたごみも交じっており、コンテナが次々と開封されていくたび、私の胸の動悸は激しくなった。 オーストラリアからのコンテナが開封された瞬間を私は決して忘れないだろう。死んだウジ虫だらけの牛乳瓶から腐臭が漂い、吐き気がした。そんなものが海を越えて何千キロも離れた自分の国に届いたという事実にも胸が悪くなった。 17年末に中国がプラスチックごみの輸入禁止を発表。たちまちマレーシアなど東南アジア諸国は先進国の廃棄物の新たな輸送先と化した。実際にはその数カ月前から、既に前例のない大量のプラスチックごみがマレーシアに押し寄せていた。 1