何をつくっていいのかわからなくなる。作品をつくる手がとまる。表現力は人並み以上にあるのに、何か意味のあることをしないといけないと思って、表現の手前で立ち止まる。藝大でそんな学生を何人も見てきた。独自の感性に裏打ちされた表現スタイルをもっている同級生と比較して、自分はダメだと思い込み自己否定のスパイラルに陥って出てこられない。他の人と比べることないのにと思うのだが、小中高予備校と協調と競争を同時に強制された社会を生き抜いてきた人たちに、他人を意識するなと言うのは酷である。 でも、キミしかできないことはあるんだよ、自分の手で何かをつくる喜びを実感できるようになってほしい、って心の底から思っている。なぜなら、なんかを見つけると急に自信が湧いてきてつくることに熱中しだす学生もたくさん見てきたからだ。 何なんだろう、そのきっかけって? まずは自己肯定である。自己肯定ができないと自己否定に至ってしまう