一 はじめに 百五十年前、明治という時代が始まったその瞬間を、山川健次郎は、政府軍と戦う白虎隊の一員として、迎えました。 しかし、明治政府は、国の未来のために、彼の能力を活かし、活躍のチャンスを開きました。 「国の力は、人に在り。」 東京帝国大学の総長に登用された山川は、学生寮をつくるなど、貧しい家庭の若者たちに学問の道を開くことに力を入れました。女性の教育も重視し、日本人初の女性博士の誕生を後押ししました。 身分、生まれ、貧富の差にかかわらず、チャンスが与えられる。明治という新しい時代が育てた数多(あまた)の人材が、技術優位の欧米諸国が迫る「国難」とも呼ぶべき危機の中で、我が国が急速に近代化を遂げる原動力となりました。 今また、日本は、少子高齢化という「国難」とも呼ぶべき危機に直面しています。 この壁も、必ずや乗り越えることができる。明治の先人たちに倣って、もう一度、あらゆる日本人にチャ