大学に勤務しているとしばしば「企業と大学は違う」というフレーズを耳にする。このフレーズは多くの場合、企業のマネジメント経験者がその手法の活用を提案した際に、反対の理由として発言される。 この議論は、大学マネジメントの方向性を考える上でかなり本質的な問題を含むと思っているが、私は少なくとも私立大学においては「基本的には同じ」というスタンスで仕事をしている。 まずは企業と大学の責任について。「企業にとって第一の責任は存続することである」(P.F.ドラッカー「現代の経営」より)。大学の第一の責任も存続することである。建学の精神を基にした教育を行い、社会に貢献する人材を送り出す営みを将来にわたって継続することこそ、大学の第一の責任である。ドラッカーの言うところの企業にとっての第一の責任と何ら変わるところはない。それでは、大学が存続するために利益が必要であるかどうか、これが次の論点になる。 次の論点