新潮新書 2012年12月 片山氏の本は「未完のファシズム」がとても面白かったのだが、それは東日本大震災以前に書かれたもので、この「国の死に方」は、震災の後、このままでは国が滅ぶのではないかという危機感のもとに書き始めたものらしい。それでこういうタイトルとなっている。 「未完のファシズム」では、戦前の軍国主義といわれた時代の体制は、実はファシズムどころか、権力が分散していて独裁などとはほど遠いものであったことを指摘したものであった。 本書もまたそれの延長のうえにあるのだが、その基本は、近代は専門化と分化の時代であるということで、軍事、外交、財政、科学といったそれぞれの分野にすべて通暁したトップなどはありえないから、そもそも独裁ということは不可能であるという視点である。しかし、平時はそれでいいとしても、非常時にはそれでは困る。東日本大震災は非常時であった。しかし、日本という国は非常時の対応を