一定時間働いたとみなし、仕事の手順や時間配分を従業員に任せる「裁量労働制」が、二〇一一年に全国で初めて九千件を超え、過去最多になった。規制緩和による経済成長を主張する経団連は適用拡大を求めるが、労働者側は「際限のない残業につながり、長時間労働を助長しかねない」と反発している。 (中沢誠) 全国の労働基準監督署への届け出数をまとめた厚生労働省によると、一一年は、前年より四百三十二件増の九千三百五十六件。内訳は、研究開発などの特定業務に適用される「専門業務型」が七千三百三十九件、本社勤務のホワイトカラーなどに適用される「企画業務型」が二千十七件だった。届け出数は増加傾向にあり、専門業務型は過去十年で三倍、企画業務型は〇四年の適用要件緩和で、翌年は二倍に膨れ上がった。 裁量労働制は、労働時間だけでは成果を評価しにくい働き方に対応するために設けられた。いくら働いても労使で合意した労働時間分の賃金だ