昨日に引き続き、今日も寒かった。 午後六時、サッサと仕事を切り上げ、 パンツとシャツと手拭いを紙袋に放り込み、 有馬温泉の「金の湯」に出かける。 「今日は金の湯に行く」、と朝から決めていた。 アパートの風呂では、なかなか身体の芯まで温まらない。 湧き出た時には無色透明の湯だが、 鉄分を多く含んでいるため、 湯はアッと言う間に酸化し、茶色に変色してしまう。 その茶色に変色した湯の色を「金」に見立てたのだが、 平日ということもあってか、「金の湯」は驚くほど空いていた。 有馬はシーズン・オフの平日に限るね。 私の体色は浅黒いから、 茶色に変色した湯に身体を浮かべていると、 まるで、豚汁に浮かぶ牛蒡になったような気がする。 「俺が牛蒡なら、あの人は差し詰め豆腐といったところかな」、とか、 「これだけの具が入ってんねんから、湯にはええ出汁が出てるで」、とか、 「湯に七味唐辛子入れたら、もっと温まるん