「自分の愛読書が誰かに渡って読まれているのは、うれしいしわくわくする」と笑う岡田くみこさん=広島市西区で 「世界中を図書館に」。そんなコンセプトで、各地で本を読んでは手放し、顔の見えない読書好きと心で交流する活動があるという。 うっすらと日焼けした文庫本を取り出した。「春にして君を離れ」。英国の推理作家、アガサ・クリスティー。「これ、すごく好きでね」と、岡田くみこさん(46)が背表紙を開いた。 2012年4月2日、東京でこんな感想が記されていた。「読む側の人生経験によって受ける印象がちがうだろう一冊」。3日後の5日、今度は大阪で別の読者が「こわ~い本。妻にとって? 夫にとって? 家族にとって?」と書いた。そして「ミステリーの女王」の名著はいま、岡田さんが広島市西区で営む雑貨店にたどり着いた。「たまたま友人が勤める会社のロビーに置いてあったんです。うれしくて持ってきました」 ブッククロッシン