万年筆が進学や就職、昇進のお祝い記念品として市場でもてはやされたのはもう何十年も昔のことだ。しばらく使わないとインクが乾燥したり、頻繁に使えば直ぐにインク切れを起こす。現代人には、万年筆とはけっこう面倒で扱いにくいモノだ。 風情のない簡単確実なカートリッジ式ならインクの交換もスムースだが、スポイト形式の伝統あるインク吸入方式なら、インクボトルからインクを吸い上げるにも慣れやコツ、そしてペン先を傷めないように、インクボトルのインクを周囲にまき散らさないように、細心の注意が要る。万年筆とは気難しいモノだ。 何より、紙に筆記した文字はしばらく紙面上にインクの水たまりを作り、右利きの人ならまだしも、左利きの人は今書いたばかりの文字の上を擦らないように細心の注意が必要だ。そんな万年筆が、油性ボールペンや水性ボールペン、ローラーボールペンなどに市場を取って代わられるのは時間の問題だった。 今や死語とな