通信と放送の融合をさまたげる究極の壁は、権利者である。IPマルチキャストの問題にしても、いくら法律を改正したところで、権利者がノーといったらおしまいだ。しかも著作権をもっているアーティストというのは、この種の雑用が苦手なので、その代理人と称する業者が暗躍することになる。 その悪質な見本が、JASRACである。カラオケ店などに根拠の不明な高額の「著作権使用料」を請求し、店がそれを拒否すると、JASRACの職員が乗り込んで店内で「ドロボー」と叫ぶなど、暴力団まがいの取り立ての実態は、業界ではよく知られている。おまけに、そうして取り立てた使用料を著作権者に支払っているという証拠がない。年間1000億円を超える使用料の使途は不透明で、過去には不正融資事件も起こしている。 この背景には、日本ではこうした権利者の団体が「仲介業法」によって許認可の対象とされ、JASRACがながく独占状態だったという