新年度が始まって10日あまり。街を歩けば、真新しいスーツを着た新入社員の姿がまぶしく映る。しかし、本人に代わって企業側と交渉する「退職代行」サービスの現場では、すでに新卒者からの依頼が相次いでいる。「入社前と話が違うのですが……」。多くはそう切り出すという。 「あんな会社とは話できない」 各地で入社式が行われた1日、東京都大田区の「アルバトロス」が運営する「退職代行モームリ」の電話に、さっそく新入社員からの依頼が舞い込んだ。「あんな会社とはもう話ができません。退職代行をお願いします」。美容関係の企業に就職したという20代女性の声は怒りで震えていた。 女性は入社前、髪の色は自由だと聞かされていたが、入社式直前に黒に染めるよう指示された。拒否すると、入社式に出席させてもらえなかった。そのままモームリに電話をかけて退職の手続きを進めてもらい、今は新しい就職先を探しているという。
ファミリーレストランで活躍するネコ型配膳ロボット=東京都練馬区のガスト谷原店で2023年6月22日、加藤美穂子撮影 飲食業界で人手不足が深刻化し、店員の奪い合いが激化している。この危機に独自の戦略で立ち向かっているのが、ファミリーレストラン「ガスト」などを展開する「すかいらーくグループ」だ。この戦略を確かめに東京都内の「ガスト赤坂見附店」を訪ねた。 ネコ型ロボ9割が好感 「料理をお取りくださいニャン」「通してほしいニャー」。店に入ると、今ではすっかり定着したネコ型の配膳ロボットが忙しく店内を動き回っていた。中国企業プードゥ・ロボティクスが開発した自律走行ロボ「BellaBot(ベラボット)」だ。 業界に先駆け2021年に導入し、今ではガストのほか、中華レストラン「バーミヤン」、しゃぶしゃぶ店「しゃぶ葉」などグループ約2100店舗で約3000台が稼働している。なでると「うれしいニャー」と答え
万博開幕まで1年を前にインタビューに答える大阪府の吉村洋文知事=大阪市中央区で2024年3月28日、川平愛撮影 2025年の大阪・関西万博は、13日で開幕まで1年になった。2度にわたる会場建設費の増額や海外パビリオン建設の遅れに厳しい視線が注がれ、今も開催そのものへの賛否が割れている。万博の意義や開幕に向けた現在の準備状況について、キーマンたちはどう見ているのか。日本国際博覧会協会の副会長も兼ねる吉村洋文・大阪府知事に聞いた。 キーマン・インタビュー 事務方トップ、参加国は「同じ船の仲間」 関経連会長どう見る?「情報発信を……」 連載「夢洲の現在」上 万博アクセスに「黄信号」 写真特集・大屋根「リング」などの建設が進む万博会場
JRゆめ咲線の終着・桜島駅(大阪市此花区)に降り立つと、工事用フェンスが張られた目の前の広場で、小型重機が音を立てていた。裏手にあるユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のジェットコースターからは浜風に乗って客の絶叫が運ばれてくる。ここは、2025年4月に開幕する大阪・関西万博の会場に最も近いJRの駅だ。現地へ向かうシャトルバスの発着場整備が進む一方で、非常事態が起きていた。 <開幕まで1年> 2025年大阪・関西万博(4月13日~10月13日)の開幕まで13日で1年。万博を巡っては、海外パビリオンの建設の遅れに注目が集まる一方、別の課題も浮かぶ。夢洲の「現在地」を計3回で報告する。 「何とかしないと計画自体が破綻しかねない」。万博の輸送計画を担う日本国際博覧会協会の幹部は苦悶(くもん)の表情を浮かべた。会場の人工島・夢洲(ゆめしま)へは、延伸予定の地下鉄と桜島駅など近隣主要駅からのシ
今回見つかった首里城の写真の拡大画像。向かって右側の大龍柱は根元しか写っていない(〇で囲った部分)。左側の柱は正面を向いている。撮影は1896年とみられる=共同 1896(明治29)年に撮影されたとみられる沖縄県・那覇の首里城の写真が見つかった。正殿前に一対で立つ石彫りの大龍柱のうち、向かって右側の柱は根元部分だけ残し、写っていない。 明治政府が琉球処分のため派遣した軍隊が撤収する時に大龍柱の1本を切断した、という古老らの証言が伝わっているが、明確な文献資料はなかった。今回発見された写真は、この伝聞を裏付ける証拠になりそうだ。 古写真を見つけたのは、東京都国分寺市の美術商、秋山弘道さん(72)。父親から引き継いだ大量の写真の中にあった。秋山さんは「首里城は正面から撮った写真が多いが、これは少し斜めから撮影しており、大龍柱が1本しかないので不思議だと思った」と話す。
河川の調査で見つかったマイクロプラスチック(本文とは直接関係ありません)=千葉県野田市山崎の東京理科大で2018年12月27日、椋田佳代撮影 人の頸(けい)動脈にできた隆起を切除して調べたところ、6割弱に微小なプラスチックが含まれていたと、イタリアの研究チームが発表した。検出された人は、されなかった人に比べ、脳卒中などになるリスクが4倍以上になっていた。微小プラスチックが体内の他の場所にも広がり、炎症を起こしている可能性があるという。 微小プラスチックはプラごみやポリ袋などが分解されてできる。飲料水などにも含まれているとされ、人の体内から検出されたとの報告もある。しかし人体への影響はよく分かっていない。 頸動脈の隆起は動脈硬化の原因になるとされ、切除するケースが多い。チームは、イタリア国内で、無症状の18~75歳の257人の頸動脈から切除された隆起を調査。58%にあたる150人から微小プラ
米ホワイトハウスで10日開かれた日米首脳会談後の共同記者会見では、両政府の姿勢に温度差が見られた。日本政府の高官らは岸田文雄首相の発言を細かく確認しながら会見を見守ったが、米側はバイデン大統領の発言が覇気に欠け、高官が首相の発言中にスマートフォンをいじる姿も散見された。 記者会見ではホスト役のバイデン氏が約5分間、原稿を映し出す「プロンプター」を見ながら発言した。日米関係の進展を強調した後に「岸田首相個人もたたえたい」と語り、日韓関係の改善を進めたことなどを称賛した。 岸田氏は用意された原稿に従って約10分間発言した。日本の高官が原稿にチェックを入れながら発言に漏れや間違いがないか確認する姿が見られた。一方、岸田氏の発言が冗長だった面もあるが、この間、米政府の高官はスマートフォンを操作したり、同時通訳のヘッドホンを外したり、ツメをいじったりする姿が見られた。
国民民主党は10日、国会内で両院議員総会を開いた。衆院東京15区補選(16日告示、28日投開票)に出馬予定の作家、乙武洋匡氏の推薦決定は見送った。総会後、舟山康江両院議員総会長は「乙武氏から推薦依頼が出されなければ推薦することはない」と語った。 乙武氏は小池百合子東京都知事が主導して擁立し、8日の…
毎日新聞は航空機の位置情報を公開しているウェブサイトを活用して一般に広く知られていない在日米軍機の首都圏での活動実態を調査した。その結果、大型輸送機が東京や神奈川などの上空で全長300キロ超にわたる周回飛行を日常的に行うことや、ヘリが東京湾や相模湾といった洋上で低空旋回などを繰り返していることを確認した。 日本政府は首都圏上空や沿岸部に米軍に提供している訓練空域はないと説明しているが、首都圏の広範囲にわたって訓練とみられる飛行が行われている実態が浮き彫りになった。 取材班は2020年以降、東京・六本木の米軍ヘリポートを利用する米軍ヘリの飛行実態を調査。新宿駅上空で低空飛行を繰り返していることなどを報じた。 22年8月からは調査対象を首都圏に拡大し、航空機の位置などを公開しているサイト(ADSBexchange.com)を使って今年3月まで断続的に調べた。一部については実際の飛行を撮影し、サ
古文書からは一揆後も国人たちがやり取りを続け、つながりが残っていたことがうかがえる=京都府庁で2024年4月2日午後3時3分、中島怜子撮影 戦国時代、自治に初めて成功したとされる「山城国一揆(やましろのくにいっき)」(1485~93年)に関する古文書が大量に見つかった。一揆の原動力となった国人(地方在住の武士)らのやり取りが克明に記された新出史料。詳しい分析はこれからだが、専門家は「将来、教科書の記述が変わる可能性もある」とみている。 見つかったのは一揆で中心的役割を担った椿井(つばい)家に伝わる書状の写し124通。馬部隆弘・中京大教授が2021年、奈良県平群町教育委員会に所蔵されていた大量の古文書を見つけた。3年かけて調査し、椿井家の関連文書と特定した。室町・戦国期の書状を江戸時代の子孫が写したものとみられ、京都市東山区の八坂神社に残る原本7通と内容が共通していることから、本物と確認した
牛丼チェーン「松屋」が、「外交戦略」の舞台となっている。東欧ジョージアの「シュクメルリ」などの名物料理を売り出して好評を博し、SNS(ネット交流サービス)では欧州各国の大使らから「ぜひうちの国の料理も」と熱烈なラブコールが届いている。しかし、松屋で提供するうえで乗り越えなければならないハードルもあるという。 きっかけは2024年2~3月に期間限定で復活販売した「シュクメルリ鍋定食」。鶏肉をニンニクの利いたホワイトソース、チーズで煮込んだジョージアの郷土料理で19年に初めて販売。松屋が「東京オリンピックに向け世界の料理を味わってほしい」と商品化した各国料理の一つだった。23年7~8月のインターネットでの投票「松屋復刻メニュー総選挙」で、2位のチキン南蛮に1万票以上の差を付け1位を獲得し、再び店頭に登場…
参院政治倫理審査会に臨む自民党の世耕弘成前参院幹事長=国会内で2024年3月14日午前9時52分、竹内幹撮影 私たち教職員有志は、世耕弘成氏に学校法人近畿大学理事長の辞任を求めます――。自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題で、1542万円の還流(キックバック)を受け取っていた世耕弘成前党参院幹事長は、祖父の弘一氏が創立した学校法人近畿大学の理事長でもある。「裏金事件」の渦中にいる人物が大学のトップに君臨することは問題があるとして、世耕氏の辞任を求める署名活動を近畿大の教職員有志が始めた。 活動は、オンライン署名サイト「Change.org」で3月28日にスタート。9日間で3万筆超が集まった。賛同者からは「ダメなものはダメと言える皆さんに連帯します」「法を守らぬ人間に理事長はできません」「一刻も早く辞めさせるべきだ」などのコメントが寄せられている。
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