弁護士や事務所職員が襲撃される事件が相次いでいる。日本弁護士連合会は「業務妨害事案」へのマニュアルを用意し、7月には会員に防犯対策の徹底を通知していたが、殺人事件は防げなかった。「トラブルにかかわるのが仕事」で、“逆恨み”と隣り合わせといえる弁護士。究極の対策は「自衛」しかないというのが厳しい現実だ。 今年6月、横浜市中区の法律事務所で、前野義広弁護士=当時(42)=が訪れてきた男に刃物で刺され殺害された。男は離婚訴訟中で、慰謝料などの金銭交渉で妻の代理人だった前野弁護士とトラブルになっていた。 平成19年9月には、母親の財産管理をめぐり、大阪市中央区の法律事務所を訪れた男が女性事務員=同(68)=を殺害。北海道岩見沢市では19年4月、弁護士の男性(71)を鉄の棒で殴り負傷させたとして無職の男が逮捕された。男は「十数年前、自分が関係する民事訴訟を担当していた。恨みがあった」という内容の供述