フランスの「初期雇用契約」(CPE)をめぐる混乱は、国鉄が36時間ストに突入するなど、1968年以来ともいわれる「内乱」状態になっているが、この騒動には合理的に理解できない点が多い。 若者を雇用後2年以内に理由なく解雇することを認めるCPEは一見、若者をいじめるようにみえるが、実際には失業率の高い移民労働者には有利になる。現在のフランスの法律では、いったん雇用した労働者を解雇することがきわめて困難なので、雇用は有名大学を出た人材に集中する傾向があり、労働者間の格差が拡大している。CPEは、「試用」を可能にすることで若者の雇用機会を広げようとするものだ。 このように解雇を容易にすることは、短期的には過酷な政策にみえるが、長期的には、企業にとって過剰雇用のリスクが小さくなるため、雇用は拡大する。これは実証的にも裏づけられており、フランスのように労働者が手厚く「保護」されている国ほど、失業率