MAIN CONTENTS はこちら 第一話~第九話までのあらすじ 比叡山女人堂で奉公する澪は、山を「死を待つ墓場」と断じる謎の少年・海に出会い、信仰を揺さぶられる。一方、織田信長の包囲網が狭まる中、芦浦観音寺の慶順と実務を担う詮舜、そして秘密を抱える海たちは、比叡山の本質を守るため非情な謀略を巡らせていた。老僧・実賢の「濾過」の教えを経て、澪は自らの葛藤を振り払うが、時代は無慈悲にも戦乱へと突き進む。聖俗併せ呑む知略と祈りが、千年の山を舞台に交錯する。 第十話 黄金の水郷 比叡山での慌ただしい雑用の日々を離れ、澪(みお)は束の間の休暇を坂本の実家で過ごしていた。澪の父は、この界隈で名の知れた水運業の水夫。ある日、父が大切な帳面を忘れて仕事に出てしまったため、澪はそれを届けるべく賑わう港へと向かった。小さい頃、父親に連れて行って貰って以来である。 父に忘れ物を渡した澪は、港全体が一望できる

