熊野 信一郎 日経ビジネス記者 1998年日経BP社入社。日経ビジネス編集部に配属され製造業や流通業などを担当。2007年より日経ビジネス香港支局に異動、アジアや中国に関連する企画を手がける。2011年11月に東京の編集部に戻る。 この著者の記事を見る
熊野 信一郎 日経ビジネス記者 1998年日経BP社入社。日経ビジネス編集部に配属され製造業や流通業などを担当。2007年より日経ビジネス香港支局に異動、アジアや中国に関連する企画を手がける。2011年11月に東京の編集部に戻る。 この著者の記事を見る
飛行機での携帯端末の使用をどこまで許容するのか。 9月から日本では飛行機の離着陸時でも、「機内モード」であればスマートフォンやタブレット端末などが使えるようになるという。8月7日に国土交通省が航空機内での電子機器の使用について、制限を緩和すると発表した。機内の無線LANサービスを利用すれば離着陸時を含め、常時インターネットに接続できるようになる。 高度1万フィート以上の携帯通話を解禁すべきか 一方、筆者が駐在する米国では、ほぼ同じタイミングで、機内での携帯端末利用に関して、あるニュースが話題になった。 米運輸省が機内での通話を禁止する方向でルール作りを進めようとしている、というものだ。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、運輸省の法律顧問であるキャスリン・トムソン氏がワシントンでの講演で、機内での携帯電話による通話を正式に禁止するよう計画していると述べ、同省の広報官も認めたという。
「お・も・て・な・し」──。2020年の東京五輪開催が決まった昨年9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会でのスピーチで、フリーアナウンサーの滝川クリステルさんが使い、流行語大賞にも選ばれた。 それほど注目を集めたおもてなしについて教える「おもてなし学」の講座を筑波大学が今年4月から始め、学生たちの人気を博しているという。具体的にどのようなことを教えているのか。元日本航空(JAL)の客室乗務員で、講師としてこの講座を担当している江上いずみさんに聞いた。 筑波大学がこの4月から始めた「おもてなし学」の講座の講師を務められています。筑波大学がどのような狙いでこの講座を設け、どのような経緯で江上さんが受け持つことになったのでしょうか。 江上:私の母校である筑波大学附属高校(東京都文京区)に長女が入学し、昨年3月に卒業しました。私は彼女の在学中、同校のPTA会長を務めていましたので、その卒業式後
7月中下旬に1週間ほど夏休みをとり、バルカン半島の3カ国(コソボ、マケドニア、アルバニア)を旅行してきた。交通手段の制約などから個人では回りにくいので、バス移動を中心とするグループツアーへの参加である。 日本ではまだあまりなじみがない「未知の国々」だが、セルビア正教会の修道院にある素晴らしいイコンや、オスマントルコ時代から残っている古い街並みなど、世界遺産に登録されている見どころもかなり多いエリアだ。その上、観光客がまだ少ないので落ち着いた雰囲気が漂っており、ゆっくり楽しめる。 筆者は大学在学中を中心に、海外フリー旅行にかなりの日数出向いた「グローブ・トロッター」である。特にヨーロッパは、北はアイスランドから南は英領ジブラルタル、マルタ、キプロスまで、小さなものを含めてほとんどの国・地域を訪れた。 そうした中、個人の自由旅行が当時まだ認められていなかったため筆者が訪問を断念した国が、アルバ
いまはクマやシカぐらいしかいないけれど、地質学的には「少し前」まで日本にもゾウやサイなど、アフリカ並みの巨大野生動物が暮らしていた。では、いつ、どんな動物がいたのだろうか。そんな日本列島の絶滅哺乳類の歴史を知りたくて、2014年夏に国立科学博物館で開かれる特別展「太古の哺乳類展」の企画を担当した冨田幸光地学研究部部長の研究室に行ってみた!(文=川端裕人、写真=的野弘路) 国立科学博物館の2014年夏の特別展「太古の哺乳類展」は、日本で発掘された絶滅哺乳類が一堂に会する希有な機会だ。それにしても、本当にかつての日本にはいろいろな動物がいたものだ。 化石記録があるかぎり集めてあるわけだから、たとえばゾウにしても数百万年前のミエゾウや、もっとまえのゴンフォテリウムもいて、進化の不思議に思いをいたす。 進化と絶滅の謎 と同時に、なぜ、今、こういった動物たちがいなくなったのか、という疑問を抱く。2万
中国のポータルサイト“網易(NetEase)”は、7月24日に「“七成国人対中国水質量感到満意(7割の国民が中国の水質に満足)”」という標題の記事を掲載した。ところが、不思議なことに、“網易”は7月28日に標題を「“三成国人対中国水質量感到不満意(3割の国民が中国に水質に不満足)”」に変えて同じ記事を改めてトップページに掲載したのだった。前者の標題は「7割が満足」であるのに対して、後者は「3割が不満足」であり、両者の意味するところは同じだが、「3割が不満足」とする方が読者の注目を集めると判断したのかもしれない。 「満足7割」「不満足3割」どちらもおかしい…… 当該記事の全文を示すと以下の通りである。 【1】最近、世界的な調査企業のギャラップ(Gallup)が発表した報告は、「全世界の70%の国家の住民が自国の水資源の品質に満足している」と述べている。その詳細は下表の通りだが、満足度が最高な
毎年、この季節はちょっとだけ忙しい。 「この季節」とは、「出版社や新聞社が夏休みに入る直前の一時期」のことで、具体的には8月の第1週を指す。 出版の世界には、「お盆進行」「年末進行」「ゴールデンウィーク進行」という3つのイレギュラーなスケジュールが設定されていて、業界内の人間は、それぞれ、1週間程度の連続休暇を実現するべく、印刷所の停止期間から逆算したしわ寄せの作業を、順次、先取りしてこなす決まりになっている。 「しわ寄せは歩いて来ない」 と、だから、古い出版人は、毎年この時期が来ると、歌ったのだと言う。 「だから走って行くんだよ」 と。うそだけど。 そんなわけで、現在私が直面している「お盆進行」は、前方から倒れこんで来る月刊誌の〆切と、夏休み特集向けのゆるふわ企画取材が重なって、なかなか油断のならない暑苦しい1週間を形成している次第だ。 もうひとつ、盛夏のメディア業界には、「戦争回顧」と
小さくて大きな一歩だった。7月24日、メルセデス・ベンツ日本とオリックス自動車、アマノの3社は9月から新しいカーシェアリングサービスを始めると発表した。オリックス自や最大手のタイムズ24が従来手がけてきたカーシェアとの違いは「ワンウェイ(乗り捨て)方式」であること。つまり、クルマを元々あった場所に戻さなくても、違う場所で乗り捨てできるという点だ。 具体的には、横浜市内にある8カ所の駐車場をカーシェア拠点とし、ベンツの2人乗り車両「スマート」のEV(電気自動車)を貸し出し用に全部で20台用意する。例えば、新横浜駅のそばにある駐車場でスマートに乗り、中華街に近い駐車場で使用を終えて食事に行く、といった使い方が可能になる。 料金は15分200円からで、事前にオリックス自のカーシェア会員になっておく必要がある。同社によれば、先に挙げた新横浜~中華街のルートはタクシーを利用すると3000円ほどかかる
マックファミリーOSIの食肉偽装問題 さかのぼること8カ月前。シカゴのホテルに集まったマクドナルドグループの経営陣は、1人の男性を賞賛した。その男性とは同社への食肉供給を担っていた米食品卸売会社OSIグループのボス。OSIグループは現在、使用期限切れの食肉を供給していたことで話題を集めている中国企業・上海福喜食品を傘下におさめていた。その賞賛とは、OSIの「McFamily」への貢献が認められたゆえのもので、同社とマクドナルドとの関係は蜜月とも言えるものだった。 上海福喜食品は、品質保持期限の過ぎた肉をマクドナルドなどの企業に出荷していたと報道された。もともと上海テレビ局のスタッフが2カ月もの長期にわたって潜入取材を試み、それを2014年7月20日に報道したのが発端だった。画像は衝撃的なもので、床に落ちた食肉をふたたび設備に戻す、消費期限シールを貼り替える、期限切れ肉を混在させる、変色した
今年は冷夏の予想だったにもかかわらず、梅雨が明けた途端に最高気温35度を越える猛暑の到来である。毎年のこととはいえ、暑さが苦手な筆者にとっては9月下旬までのこれからの2カ月間は年間でもっとも嫌いな気候が続く。なんとも気鬱なことである。 メンズのカジュアルファッションを見ていると、今年は短パンの登場時期が昨年よりも早かったような気がする。本格的な暑さが到来するかなり前のゴールデンウィークくらいから早くも着用者が登場している。これは昨年からの短パンブームが完全に定着化したことがその理由として挙げられるだろう。 今年も主流となる短パンはひざ上丈である。2011年ごろから男性の短パンが徐々に市民権を拡大していったが、当初はフルレングスよりも少し短いクロップド丈であり、それが少し短くなって7分丈となった。そして昨年からはひざ上丈が主流となっている。 筆者は夏場、クロップドパンツか7分丈パンツを愛用し
「日本を米国のような起業大国にしたい」 これは安倍首相がニューヨーク証券取引所で行ったスピーチの一節である。それから9カ月、税制優遇措置など起業家支援策を盛り込んだ日本再興戦略の改訂版、いわゆる新成長戦略が閣議決定された。安倍政権は、起業を促進することで日本経済の再生を図るとともに、地方ベンチャーの育成を通じて地方経済の活性化にもつなげたい考えだ。 果たして起業支援が地域活性化の切り札となるのか。米国における起業の実態から成功の条件を探ってみたい。 起業のしやすい都市No.1はダラス 起業家精神が旺盛な米国では、毎年70万以上の会社が誕生する。社歴の短い新興企業が雇用増の大半を担う米国にとって、「起業」はまさにダイナミズムの源泉といえる存在である。 地方自治体の中には、これら起業家を取り込むことで、地元経済の活性化を目論むところも少なくない。優遇税制や行政手続きの簡素化(いわゆる規制緩和)
本に巻いた帯では「ケーススタディは経営学の最強スキルである」とうたっています。ベストセラーになった『統計学が最強の学問である』に対抗しているわけですか? 井上:おっしゃる通り「統計学」との対比を意識しています。帯のコピーは編集者が決めたもので、「経営学の最強スキル」というのは大げさじゃないかと感じる人がいるかもしれませんが、ケーススタディ(事例研究)は統計学と同じくらい重要な手法だというのは間違いのないところだと思っています。私たち経営学者にとっても、ビジネスの実務家にとっても、ケーススタディは大変に役に立つ。だから、その方法を学んでほしいと思って、この『ブラックスワンの経営学』を執筆しました。 平均は「過去」、はずれ値こそが「未来」 「ブラックスワン」は「ありえない」ことの象徴だそうですが、それがケーススタディとどう関係するのですか? 井上:経営学の研究には主として2つの方法が使われてい
「『なぜ日本は安価な再生可能エネルギーを活用せず、燃料費が高い火力発電ばかりを使うの?』。欧州へ行くと必ずこう聞かれます」 国内外で再生可能エネルギーに関する制度・政策の調査を手がける、トーマツ・エンタープライズリスクサービスの水野瑛己マネジャーは苦笑する。 この指摘の背景には、「太陽光発電の発電コストは、電力の小売料金よりも安く、風力発電の発電コストは火力発電並み」というのが欧米の常識になったことがある。 翻って日本。東京電力・福島第1原子力発電所事故に始まる原発停止による電力不足は、そのすべてを火力発電で賄ってきた。 火力発電は原価の約6割を天然ガスや石炭、石油といった燃料費が占める。資源に乏しい日本は火力燃料のほぼすべてを輸入に頼っている。だからこそ、日本向けの燃料価格は「ジャパンプレミアム」と呼ばれ、電力料金高騰の主要因となってきた。 2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買
金属粉末3Dプリンターを使い、部品製造のプロセス改革に挑む革新的な企業が神奈川県小田原市にある。自動車部品鋳造のコイワイだ。3Dプリンターの進化により、いずれは金属部品製造に必要な電力コストを、鋳造する場合に比べ10分の1程度にできると予測する。大手メーカーの研究開発部門幹部が見学に相次いで訪れるという金属粉末3Dプリンターの可能性について、小岩井豊己社長に聞いた コイワイが2013年から2014年にかけて順次導入した、金属粉末3Dプリンターとはどのような機器なのでしょうか。 小岩井社長:通常の3Dプリンターは、樹脂を積層させて物体を作ります。一方で金属粉末3Dプリンターと呼ばれる機器は、金属粉末を高温のビームで溶かしながら積層して物体を作っていくものです。 我が社が導入した金属粉末3Dプリンターは、独イオスが開発販売する「EOSINT M280」と、スウェーデンのアーカムという企業の「A
前回まで、僕が研究を進める「競技用義足」、「ロボット義足」について説明してきました(「足がない」ことが可能性を広げる /ロボット義足は世界に何をもたらすか)。もう1つ、今、僕が取り組んでいるのが「途上国向け義足」の開発です。 きっかけは、インドのジャイプールフットというNPO(非営利法人)との出会いでした。ジャイプールフットは1975年から寄付を元手に安い義足を制作し、足を失った人に義足をタダで提供する活動を続けている団体です。 僕が留学していた米マサチューセッツ工科大学(MIT)のラボメイトが1年間ジャイプールフットでインターンをしてインドから帰国した際、3000円ほどの義足を持って帰ってきました。 その義足を見て、僕は大いに興味を持ちました。「僕だったら、同じ3000円でもっと良い義足が作れる」と思ったのです。 先進国と途上国のものづくりは、技術、素材、人、カネと与えられた環境が全く違
イリノイ州に住むある女性が豊胸手術を受けた。結果が気に入らなかった彼女は、不満を持つ他の多くの消費者と同じ行動を取った。つまり、そうしたレビューを掲載しているウェブサイトを訪れ、執刀した医師に対する批判的なコメントを書いたのだ。彼女によれば、「私の胸はホラームービーか何かに出てくるような代物にされた」。手術の結果に不満を持つ他の患者もネットでの攻撃に加わり、この医師に「危険人物」「恐ろしい」「間抜け野郎」などと罵声を浴びせた。医師は名誉棄損だとして彼らを訴えた(その後、訴えを取り下げた)。 米国を中心に、一部の医師が同様の訴訟を起こしている。勝訴するケースはほとんどないが、医師たちが訴訟を起こすこと自体、患者の投稿に対して、彼らが神経をとがらせていることを物語っている。医師の中には、患者からのフィードバックが正確でない、妥当性を欠いている、と疑問視する者がいる。別の医師は、「守秘義務を負っ
地球は大地震の「前」にも、人が体に感じない異常な動きをしている。 誰もが知っているように、大地震とその後では地球が変動する。水平方向にも上下方向にも大きく動く。大地震の前にもわずかながら動きがあり、それを前兆として測量技術で予測可能なことは、あまり知られていない。 本コラムの目的は、「動く地球の測量の延長上に地震予測がある」ことを伝えることである。私は本来、地震予測の専門家ではなく測量工学の専門家だ。それでも、専門の壁を越え、少しでも地震予測の手助けになれば本望だ。 さて、動いている地球の上では、動いている地球は測れない。動いている新幹線のなかでは、新幹線の速度や移動距離を測れないのと同じだ。そこで、地球の外を周回している測位衛星の登場となる。測位衛星は、後述するように一般的にGNSSと呼ばれ、GPS(全地球測位システム)はそのうちの1つにはいる。 この動く測位衛星によって、地球上に固定さ
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