今はネットの小説投稿サイトや各種新人賞の公募などがありますが、昔はどんな文豪も、編集者に見出されなければ世に出ることがかなわなかった時代がありました。しかし、その小説家が名声を得たとしても、陰の存在である編集者の名前が知られたりすることはありません。この映画の主人公マックス・パーキンズも、アーネスト・ヘミングウェイやF・スコット・フィッツジェラルドを発掘した名編集者であるにもかかわらず、現在その名を知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。この映画は、そんな実在のカリスマ編集者と若き天才作家の友情と葛藤を描いた作品なのです。 1929年、ニューヨーク。スクリブナーズ出版社に勤める編集者マックス・パーキンズ(コリン・ファース)のもとに、あちこちの出版社で断わられ、たらい回しにされた原稿が持ち込まれます。それはとんでもない分量の“超大作”でした。帰りの電車の中でその原稿を読み始めたマッ