サッカーのワールドカップ(W杯)日韓大会決勝(ブラジル―ドイツ)が2002年6月30日に横浜国際総合競技場(横浜市港北区小机町、現日産スタジアム)で行われてから、ちょうど10年の時が過ぎた。決勝開催地はロンドン、パリなど世界でも17都市しかない。横浜の芝のピッチを今も守り続ける男性は信念を曲げないながらも、寂しさもまた感じている。 あの日、観衆約6万9千人、いや世界の目が横浜に注がれていた。ブラジル、ドイツの選手が手掛けた舞台で躍動した。現在も同スタジアムで芝の管理にあたるグリーンキーパーの柴田智之さん(47)は「プレーが始まった瞬間、われわれは関係ない。けがをしないように願うだけだった」と片隅で見守っていた。 10年の歳月が流れた今も芝の状態を確認し、手入れを欠かさない。生育状況などを細かい文字で記した手帳はもう10冊を数える。刈り込みの回数や刈り方、肥料に水の量など…。日々の仕事を