「日本はどうなっているのか。また台風の犠牲が出たのか?」というのが、開口一番のイビチャ・オシムの言葉だった。 「台風ではなく豪雨ですが大きな犠牲が出ています」と答えると、「1日も早く復興して欲しいし、いつの日にかこうした災害の犠牲がなくなることを願ってやまない」とオシムは続けた。 今しがた終わったばかりのクロアチア対ロシア戦の興奮が冷めやらぬ私に、彼の言葉は冷水を浴びせかけたといってもよかった。クロアチアの準決勝進出をオシムも純粋に喜んでいるだろうと思いこんだのは、あまりにシンプルでナイーブであるといえた。 自分の立ち位置を常に確認し、言及すべきことに言及する。 サッカーに関しても、適切な距離感と客観性を決して失わない。 彼の言葉を聞いて、私も冷静さを取り戻すことができたのだった。 おもむろに彼は語り始めた。ロシア対クロアチアの準々決勝について、クロアチア代表というチームについて、そして次
林舞輝の日本代表テクニカルレポート第4回:日本対ベルギー 欧州サッカーの指導者養成機関の最高峰の一つであるポルト大学大学院に在籍しつつ、ポルトガル1部のボアビスタU-22でコーチを務める新進気鋭の23歳、林舞輝が日本代表のゲームを戦術的な視点から斬る。第4回のテーマは、歴史的名勝負となったベルギー戦で「2点のリードを守り切れなかった日本サッカー界全体の課題」を考察する。 一体、何が足りなかったのか? ベルギーに2-3の惜敗を喫したあの日から、きっとサッカーを愛する読者の皆さんも今の私と同じように、気が付けばふとぼんやりとそんなことを考えていたのではないか。 私たちには、何が足りなかったのか? どうすれば勝てたのか? これから何をすれば、何年後に、勝てるのか? 私が見た限りでは何度ビデオを見直しても、ピッチ上に足りないものは何もなかった。何一つとして、本当に何も、なかった。選手たちは一人残ら
心温まるおとぎ話――。ハッピーエンドではなかったが、アイスランドの戦いぶりをみると、そんな言葉が浮かんでくる。 北大西洋に浮かぶ小国の人口は約35万人。日本で一番少ない、鳥取県の約56万人の約6割しかいない。サッカー強国としての伝統もなければ、世界的な選手もいない。彼らを奮い立たせるものはただ一つ。代表への熱く、一途な思いだ。 1次リーグ突破をかけた最終戦のクロアチア戦。レアル・マドリードMFモドリッチらスター選手を擁する強国に、最後まで体を張り、ゴールを狙い続けた。初出場での1次リーグ突破の夢ははかなく消えたが、コーチ時代も含め、約7年間指導するハルグリムソン監督は「選手は全てをピッチで出し切った。誇りに思う」。負けても、観客席から向けられた大きな拍手が印象的だった。 10年前まで、この国がW杯に出るとは、誰も思っていなかっただろう。 「自分は歯科医と兼業なんだ。難しい環境から世界へチャ
サッカーW杯ロシア大会グループC、デンマーク対フランス。国旗を振ってチームを応援するフランスのサポーター(2018年6月26日撮影)。(c)AFP PHOTO / Mladen ANTONOV 【6月27日 AFP】サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)で、開幕以来初となるスコアレスドローに終わった26日のデンマーク対フランスの試合が、「W杯史上最悪の試合」だったという声も上がるほど、嘲笑や非難の的になっている。 眠気を誘う試合を消化し、フランスは必要だった勝ち点1を獲得してグループC首位通過が決定。一方のデンマークも決勝トーナメント進出を決めた。しかし、モスクワまで観戦に訪れたフランスのファンは、チームのやる気のない戦いぶりにやじを飛ばし、そしてSNSでの反応はさらに辛らつだった。 元イングランド代表で、現在は英BBCでサッカー番組の司会者を務めるギャリー・リネカー(Ga
レイキャビクのホームグラウンドでコソボを2-0で破り、アイスランドはW杯史上「最小国」として2018 FIFAワールドカップへの出場を決めた。(Photograph by Haraldur Gudjonsson, Getty Images) アイスランドが初出場を果たしたFIFAワールドカップ ロシア大会の期間中、首都レイキャビクの広場や公園、パブなどに集まってチームを応援する熱心なファンの中に、意外な集団が見られるだろう。アイスランドを第二の故郷にするポーランド人だ。 「一般に、アイスランドにいる外国人にとってサッカーのようなスポーツが大切なのは、コミュニティに参加するきっかけなるからです」と話すのは、39歳のトマシュ・クイアトコウスキ氏だ。10年前からアイスランドで暮らしている。 クイアトコウスキ氏は、アイスランドに1万2000人近くいるポーランド移民の一人だ。アイスランドの人口はわず
W杯が始まった。各国の戦いを興味深く見ているが、なかでも特別な思いで追っているのは、かつてユーゴスラビアという名の同じ国であったクロアチアとセルビア、そして私が率いたことのある日本だ。 その日本が初戦でコロンビアに勝利した。W杯でアジアのチームが南米のチームを破ったのは史上初だ。まさに快挙という言葉がふさわしい。 コロンビア戦で決勝ゴールを決めた大迫勇也 photo by Sano Miki 正直、大会が始まるまで、日本がコロンビア相手に勝ち点3を挙げられるとは思っていなかった。日本が勇猛なチームであることは知っていたが、W杯前のデリケートな時期の監督交代は、あまりにもリスクが高かった。 おそらく西野朗氏が新監督に就任したことが、日本を救ったのだと思う。西野氏はもともとチームの中にいた人間で、詳細なチーム内の状況を熟知していた。新監督に与えられた時間は少なかったが、それがあまり足かせになら
サッカーワールドカップ初出場の人口35万のアイスランドでは、初戦の視聴率が国内で99%を超えていたと、アイスランドサッカー協会が発表し、ほぼすべての国民が熱狂して試合を観戦した様子がうかがえます。 前回大会でMVPのメッシ選手のペナルティーキックで得点を許さないなど、強豪相手に1対1の同点に持ち込んで初の勝ち点1を獲得し、各国のメディアでも善戦が大きく取り上げられました。 アイスランドサッカー協会は、このアルゼンチン戦の国内での視聴率が99.6%を記録したと明らかにしました。 アイスランドの人口はおよそ35万、東京・新宿区と同じ程度で、ほぼすべての国民がテレビで試合を観戦したとみられています。
競技規則を定める国際サッカー評議会(IFAB)は3日、スイスのチューリヒで年次総会を開き、ビデオ判定の使用を全会一致で承認した。15、16日の国際サッカー連盟(FIFA)理事会で、6月14日開幕のワールドカップ(W杯)ロシア大会での導入を正式に決める。 ビデオ判定は「得点」「PK」「一発退場」「警告、退場の人定」の誤審を防ぐのが目的で、FIFAは昨年のコンフェデレーションズカップやクラブW杯で実施。ドイツやイタリアなど、欧州のリーグ戦でも使われている。 記者会見したFIFAのインファンティノ会長は「審判が正しい判定を下すための助けになり、試合により公平性をもたらす」と語った。 通常3人の選手交代枠について、延長で4人目を認める規則も承認した。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く