厳密には、すべての感染症とそのワクチンに対して、上の表に当てはめたうえでの評価が必要である。しかしながら、現実的にはすべての感染症による「個々人への影響」をそれぞれ評価することは困難であり、ゆえに社会全体の利益が優先されるのである。本項でも簡易的に、 1.HPVワクチンの事例(ワクチンによる有害事象の評価) 2.インフルエンザワクチンの事例(ワクチンの有効率への理解) の2例を紹介し、かつこれらを「ワクチン有害説」の理論と仮想して比較検討を行うこととする。おおざっぱに1でワクチンを打つことによるメリット/デメリットの比較の議論を主に紹介し、2でワクチンを打たないことによるメリット/デメリットの比較の議論を主に紹介する。 1.HPVワクチンの事例(ワクチンによる有害事象の評価) ワクチン接種後における身体の不調については、ワクチンによる因果関係を問う「副反応3」と、すべての症状を含む「有害事