森山大道がデジタルカメラに持ち替えたときに、実際どれぐらいの枚数を撮るのかとても気になっていた。 フィルムでは多く語られているが、デジタルの場合は皆目検討がつかなかった。 「写真を撮る枚数はその人の欲望と比例する」とは、森山の言葉。森山の撮影に同行するのは今回がはじめてではないが、その言葉どおり、森山は欲望のままに写真を撮った。 一泊二日の旅で2221枚。その数が熱海という街に向けられた森山の欲望というわけだ。写真は「いま」という時間しか撮影できない。どんな技術を駆使しても「過去」や「未来」を撮影することは不可能だ。だからこそ、流れゆく「いま」という瞬間を忘れないでいたい、あるいは記憶したいと思うことが、写真を撮るという行為に結実するのだろう。「旅とカメラと私」2011年インプレスジャパン刊行一部抜粋。 この旅で森山は、RICOH GXR で写真を撮っているのだが、東京からマイカーで熱海ま