映画『ドストエフスキーと愛に生きる』アフタートークに登壇した岸本佐知子さん ドストエフスキーの新訳でドイツ文学界に旋風を起こした女性翻訳家の数奇な半生を追った、現在公開中のドキュメンタリー映画『ドストエフスキーと愛に生きる』。渋谷アップリンクで去る3月2日(日)、翻訳家の岸本佐知子さんをゲストに迎え、アフタートークが開催された。翻訳家から観た本作の魅力や、ご自身の仕事観などについて語ってもらった。岸本さんならではのユニークな洞察に満ちたトークに、しばしば会場が笑いに包まれる楽しいひとときとなった。 「スヴェトラーナさんがチームを組んで翻訳している様子は 翻訳者として衝撃でした」 ──まず、本作をご覧になった感想をお聞かせください。 いろいろなことを考えさせられましたが、まっさきに感じたのは“尊い”ということです。スヴェトラーナさんの言葉はもちろん、彼女の日常生活すべてが、たとえばアイロンを