100年前の関東大震災では、数千人の朝鮮人、中国人が軍や警察、自警団によって虐殺される悲劇が起きた。千葉県東葛飾郡福田村(現野田市)では、香川県から行商で訪れた9人が朝鮮人と間違われ、殺害された。これを題材にした映画「福田村事件」(9月1日公開)を製作した森達也監督(67)は「異質なものを排除しようとする姿勢は、100年前も今も何ら変わらない」と語る。善良な市民がなぜ集団になると暴走するのだろうか――。【鵜塚健】 ――事件は地震から5日後の9月6日に発生。「朝鮮人が襲来する」とのデマにあおられた村人や自警団が、被差別部落出身の薬売りの行商団を「朝鮮人だ」と決めつけ、幼児や妊婦を含む9人を殺害しました。実話をベースにした劇映画を製作したきっかけは何ですか。 ◆約20年前にふと手にした新聞で、福田村事件の慰霊祭に関する記事を読みました。なんだろうと思い現地の寺に何度か出向き、住職や住民に話を聞