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ブックマーク / shorebird.hatenablog.com (6)

  • 書評 「進化政治学と戦争」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化政治学と戦争 自然科学と社会科学の統合に向けて 作者:伊藤 隆太芙蓉書房出版Amazon 書は社会科学と自然科学のコンシリエンスを追求する進化政治学者伊藤隆太の2冊目の著書になり,進化政治学とはどのような営みなのか,そしてそれは戦争についてどう説明するかを扱っている.基的に政治学の中の古典的リアリズムの立場を進化生物学,進化心理学で基礎づけるという試みで,具体的テーマとしては戦争原因が取り上げられ,ヒトの進化適応から説明する仮説を提示するものになる. 序章 進化政治学と社会科学の科学的発展 序章では進化政治学とは何かが解説される.進化政治学は(それまでの社会科学の暗黙的前提であった)心身二元論,高貴な野蛮人,ブランクスレートによらず,進化生物学*1,進化心理学とのコンシリエンスを目指す政治学ということになる.そして先駆者たち(マクデーモット,ジョンソン,セイヤーなど)の業績*2が簡

    書評 「進化政治学と戦争」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 書評 「NOISE」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    NOISE 上 組織はなぜ判断を誤るのか? 作者:ダニエル カーネマン,オリヴィエ シボニー,キャス R サンスティーン早川書房AmazonNOISE 下 組織はなぜ判断を誤るのか? 作者:ダニエル カーネマン,オリヴィエ シボニー,キャス R サンスティーン早川書房Amazon 書はトヴェルスキーと行動経済学の基礎を作ったカーネマンが,ビジネスコンサルタント出身のオリヴィエ・シボニーと法学者で行動経済学関連の著作も多いキャス・サンスティーンと共著したヒトの意思決定のばらつきについてのになる.カーネマンとトヴェルスキーはヒトの意思決定や行動に様々なバイアスがあることを示してきたことで有名だが,書では偏り(バイアス)ではなくそのばらつき(ノイズ)が取り上げられることになる.原題は「Noise: A Flaw in Human Judgment」 序章 序章では偏り(バイアス)とばらつき

    書評 「NOISE」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 書評 「仲直りの理」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    仲直りの理 作者:大坪庸介ちとせプレスAmazon 書は進化心理学者大坪庸介による仲直りについてのである.仲直りの進化的な意味,究極因と至近因が非常に丁寧に解説されている. 「はじめに」において著者は夏目漱石の「坊ちゃん」における主人公と山嵐の間の対立と和解,シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」におけるモンタギュー家とキャピュレット家の間の対立と和解のストーリーを引きながら,和解せずにいがみ合うことのコストの高さと,それにもかかわらず和解が必ずしも簡単ではないことに注意を促す.そしてそれをヒトの進化の文脈で考えていこうというのが書のテーマになるのだ. 第1章 動物たちの仲直り 進化の文脈で考えるということで第1章ではヒトに近縁な霊長類の仲直りを描く.有名なドゥ・ヴァールの霊長類の仲直り研究の概要が紹介され,標準的手法となったPC-MC比較法(ケンカ直後の行動とコントロール条件での

    書評 「仲直りの理」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • シノドス・トークラウンジ「進化政治学の可能性―ヒトの政治的行動の進化的基礎」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    peatix.com 進化政治学に関するオンライントークイベントがあるというので参加してきた.先日「進化政治学と国際政治理論」を出版した政治学者の伊藤隆太が聞き手に回って,(ここでは進化政治学の日における先駆者という位置づけで)長谷川眞理子と対談するという内容.聴衆はこれから進化的視点を取り入れようと考えている政治学,社会学の研究者が想定されており,そういう視点からの質問を伊藤が行い長谷川が答えるという形式になっている. これは伊藤の.私の書評はhttps://shorebird.hatenablog.com/entry/2020/04/20/113326 進化政治学と国際政治理論 人間の心と戦争をめぐる新たな分析アプローチ 作者:伊藤 隆太発売日: 2020/02/22メディア: 単行 趣旨説明 冒頭で伊藤から趣旨説明がある. 進化政治学は英米で始まり,日には遅れてようやく入って

    シノドス・トークラウンジ「進化政治学の可能性―ヒトの政治的行動の進化的基礎」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 書評 「統計学を哲学する」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    統計学を哲学する 作者:大塚 淳発売日: 2020/10/26メディア: 単行(ソフトカバー) 書は応用統計学にも造詣の深い科学哲学者大塚淳による統計学の哲学の入門書になる.序章では書について「データサイエンティストのための哲学入門,かつ哲学者のためのデータサイエンス入門」だとある. これまで読んだ統計学の哲学についてはソーバーの「科学と哲学」がなかなか面白かった.書ではソーバーでは扱っていなかった因果推論や深層学習についても論じられていて,そのあたりも勉強したいと思って手に取った一冊になる. 序章 統計学を哲学する? 序章では書のねらいと構成が書かれている.ねらいとしては,上記の入門書というだけでなく,「統計は確固とした数理理論であり,そこに哲学的思弁が入り込む余地はない」とか「統計は単なるツールであり,深遠な哲学とは無縁だ」とかいう誤解を解きたいということが挙げられている.

    書評 「統計学を哲学する」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  •  「だれもが偽善者になる本当の理由」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    だれもが偽善者になる当の理由 作者: ロバートクルツバン,Robert Kurzban,高橋洋出版社/メーカー: 柏書房発売日: 2014/09/01メディア: 単行この商品を含むブログ (5件) を見る 以前私がレビューした進化心理学者ロバート・クルツバン(Robert Kurzban*1)による「Why Everyone (Else) Is a Hypocrite」が邦訳出版された. 副題は特に付されていないが,柏書房の書籍情報では「なぜ,その"都合の良さ"に自分で気が付かないのか」とキャッチコピーが付けられていて,なかなか書の衝撃的な内容をうまく捉えているように思う.装丁は一般向けのライトな心理学のによくあるやや軽いタッチのものになっているが,表紙にも帯にも「進化心理学」や「進化」については触れていない.これでは書の議論の基盤の堅確さ,内容の革新性は伝わりにくいのではないか

     「だれもが偽善者になる本当の理由」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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