生まれつき子宮と腟が欠損している女性たちがいる。約4500人に1人。がんなどで後天的に子宮を失った女性もいる。20~30代で国内に推計5万~6万人。子宮がない女性たちは、子を持つという選択とどう向きあってきたのだろうか。 今年2月、北海道内のマンションの一室で女の子(3)が元気に走り回っていた。「最近、自己主張が強くって大変」。そう言いながらも、女性(35)の表情はやわらかい。「本気で叱るし、ケンカもするし、お互い自分をさらけ出して生活しているかな」 女性は生まれつき子宮がない。2017年に女の子の里母となり、19年4月、特別養子縁組で「母」となった。 「腟(ちつ)が見当たらない」。初経がこず、受診した近所の病院の内診台で医師から告げられたのは、高校1年のときだ。1年後、大学病院で精密検査を受け、生まれつき腟や子宮がない「ロキタンスキー症候群」と診断された。 「(自分の体は)友達とは違うん