日本橋高島屋の金製品の即売会において「金の茶碗」が盗まれた事件で、犯人から茶碗を180万円で買い取った古物商(Xさん・仮名)が、他の古物商(Yさん・仮名)に480万円で転売したとの報道があった。そこで気になるのが、茶碗の所有権と、Xさん・Yさんがそれぞれ支払った代金のゆくえである。金の茶碗の所有権は誰のものになるのか。また、YさんがXさんに支払った売買代金480万円、Xさんが犯人に支払った180万円はどうなるのか。 まず、被害品である茶碗の所有権はどうなるのか。茶碗は犯人から古物商Xさんが買い受け、さらに古物商Yさんに転売され、最終的にYさんが保有している。そこで、Yさんは被害者から、所有権に基づいて返還請求を受けることになる(【図表1】参照)。 Yさんは被害者からの請求を拒むことができるか。荒川香遥弁護士によれば、Yさんはどう転んでも被害者の請求を拒否できず、茶碗を返さなければならないと