「日本破綻を防ぐ2つのプラン」という新書を読ませてもらったが、執筆した小黒一正さんは、端的に言って、コアになっている「世代間負担」について、十分に理解していないように思える。それでいて、「世代間公平委員会」を設けて、負担と給付を正せというのであるから、危ういものを感じる。 小黒さんは、世代会計を基に、年金制度などで、高齢者世代は「得」をし、若齢者世代は「損」をしており、ゆえに、若齢者世代は、高齢者世代から搾取されているとするのだが、これは、世代間負担論の初学者に見られる典型的な誤りである。ここを理解できているかどうかが、社会保障論のプロか否かを分けるといっても過言ではない。 公的年金制度は、親世代の給付を子世代が負担するという「賦課方式」によって運営されている。この賦課方式には、「フリーランチ」が発生するという特殊な性質があり、それゆえ賦課方式が採用されているとも言える。経済学の教育では、