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2010年3月24日のブックマーク (4件)

  • isozakiaiの呟き置き場(旧:愛のカラクリ、AI日記) マシュー・パール『ダンテ・クラブ』

    ひとは、人生の道半ばにして暗い森を彷徨うことがある――わたしはそれを知っている。 まだ、そこから抜け出せていない。 でも、ひとはみな一度はそこを歩むのだと知ることができて、幸福だとは言わないけれど、知らないままでいないでよかったと思うようになった。 1865年、南北戦争直後のボストン。 ダンテ生誕600年にあたるこの年、この街にアメリカ初の『神曲』の翻訳出版を目指し、『地獄編』の翻訳に取り組んでいる文学者らのクラブがあった。クラブの名は――ダンテ・クラブ いわゆる歴史ミステリーに分類されるのかな? 実在の登場人物たちが奇怪な殺人事件にまきこまれ、それを解決するべく活躍する。 登場人物たちの多くはアメリカの大詩人ロングフェローをはじめとした「文学者」だ。 彼らの人となりが素晴らしい。友情と不和、憧憬と嫉妬、文学への愛情と家族への想いなど、丁寧に、描かれている。ことに詩人であるホームズ医師の小

    inmymemory
    inmymemory 2010/03/24
    "人生の道半ばにして暗い森を彷徨うことがある。 でも、ひとはみな一度はそこを歩むのだと知ることができて、幸福だとは言わないけれど、知らないままでいないでよかったと思うようになった" 至言
  • isozakiaiの呟き置き場(旧:愛のカラクリ、AI日記) 谷崎の「少年」を読み返す

    「少年」を図書室で読んだ当時高校生のわたしは(これじゃなくて、全集だったような気がする)、「出色の出来栄え!!」と感銘を受けたものであるが(えらそうなのは、何卒お許し願いたい。若さとは、そういうものではあるまいか)、ン十年ぶりに読み返し、「なんですかこれ、凄すぎる! これで二作目なの? どんだけ凄いの!?」と素直にひれ伏して頭をたれるのみ。わたし、オトナになったわv 当時から初期作品というと「刺青」をあげるひとが多くて、わたしはひとり、「少年」のほうが絶対にイイって思ってたのですねえ。いやはや。でも、だって、そう思いませんか? 今回ほんとにビックリしたのは、技巧の凄まじさ。 むろん、内容のアヤシサを抜きにしては語れないであろうが、そこに描かれている事柄の魅力(ミリョク、ですよね??)を抜いたとしても(というか、それがための凄さ、なんだけど)、そのパーフェクトな構造、語り口の滑らかさ、緩急の

  • isozakiaiの呟き置き場(旧:愛のカラクリ、AI日記) パスカル・キニャール『ヴュルテンベルクのサロン』

    連載中のWEB小説が少しばかり煮詰まっているので、2009年に読んだ小説のことなど振り返ることとする。 2009年の10冊、ならぬ20冊 今日のご紹介は、 キニャールの作品をよむと自分の考えていることをこれ以上ない形で書かれてしまったと感じる。だから、愛してるとか言わないけど、一生よむと思う。 以下、ネタばれ満載なので閉じておきますね。 「早すぎる自伝」という名称をこの作品に与えることを躊躇う必要がどこにあるのかわたしにはわからない。躊躇ったのは自分であるが、それはこの作品が今のわたしの年齢と同じ年(2009年当時)に書かれたことを知ったからというわけでもない。かるく驚きはしたが、そんなことでいちいち感動できるほどナイーヴに育ったつもりはない。そう、フランス文学を読むのに、無垢(ナイーヴ)ほど相性の悪い性質はないのだから。 訳者の書くように、主人公シノーニュとセヌセは作者の分身であり、いっ

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