現代フランス文学を代表する作家にして映画作家でもあるマルグリット・デュラスの、1972年から1981年までの10年間で作られた9作品が、アテネ・フランセ文化センターで特集上映される。トークショーのゲストとして、諏訪敦彦監督、岡村民夫氏(人文学研究者)、吉田広明氏(映画批評家)の登壇が予定されている。 デュラスが、「太平洋の防波堤」の映画化(『海の壁』ルネ・クレマン/57、その後2008年にはイザベル・ユペール主演『Un barrage contre le Pacifique』でリメイク)で得たお金で買ったというパリ西方の一軒家に遺されていたものを観察した彼女は、かつてその家に文盲の女性が住んでいたと推測する。そこで暮らしていたとデュラスが想像/創造した女性が発したかもしれない「家、時代、子供、夫の愛、昼の疲れを包括した彼女の無言」、その恐ろしい欠如、その女の痕跡が一切ないことを償うという「