意外と早く読み終わった。 ごく簡単に紹介と感想を書いておきたい。 訳者後記によれば、この小説の原著は、1947年にフランスで非合法出版の形で世に出た。ジュネの長編小説しては第三作にあたる。その後1953年に、ガリマール書店から「ジュネ全集」の一部として大幅な削除を施されて公にされることになるが、本書は、削除が施される前の初版オリジナル本に基づく日本語訳の文庫化、ということであるらしい。文庫本の出版は、2003年である。 この作家については、非常に多くのことが語られてきていると思う。ぼく自身は、この作家の作品(翻訳)を読むのは、『泥棒日記』に続いて、まだ二作目だ。 本作品を一読して、翻訳ながらその質量に圧倒された。訳業も驚くべきものだと思う。 第二次大戦の末期、ドイツの占領から解放されようとしていたフランスで、共産党員で対独レジスタンスの闘士だった青年ジャン・Dが市街戦のさなかに射殺される。