詩情溢れるストイックな映像美で国際的な賞賛を浴びるポルトガル人監督のペドロ・コスタが、最新作『コロッサル・ユース』の公開に向けて来日した。これまでフォンタイーニャスというリスボン郊外の貧しい地区に暮らす、かつての植民地カーボ・ヴェルデ諸島の移民たちに焦点を当てる彼は、同じ場所を舞台に、前2作の『骨』『ヴァンダの部屋』を撮ってきた。だが同じ場所も、『コロッサル・ユース』では、家屋が崩壊し、廃墟と化しつつある。人々の笑い声は消え、半壊した街を亡霊のようにさ迷う、アフリカ系の初老の男、ヴェントゥーラを追う。住人のほとんどは、市が用意したこぎれいな白い公団に移動させられた。水道もガスも完備されている。若き日はパンク・バンドで世界を回ったペドロ・コスタは、まず、前作『ヴァンダの部屋』がクラブの音楽イベントで上映されると話し始めた。