このところ国産漆に関する問題が表面化しつつある。 というのも、文化庁が、国宝や重要文化財の建造物の修復に使われる漆は、来年度から下地も含めて国産の漆を使うようにと通知したからである。しかし、国産漆の生産量は、消費量の1~2%と言われており、文化財にかぎっても必要な量が確保できそうにない。 ことの発端は、日光東照宮だったように思う。修復工事が終わって3年目にして塗られた漆が剥げだしたというのだ。ほかにも各地で建物の修復工事後わずか数年にして塗料が剥げる事例が相次いでいる。その理由として、漆塗りの部分を国産漆ではなく中国産漆を使ったから、としている。 中国産漆は、主成分のウルシオールが国産より7%ほど含有量が少ないという。これを機に文化財の修復には国産漆、という気運が出てきた。たしか小西美術工藝社のデービッド・アトキンソン社長の提言もあったように記憶している。 それはともかく、私は「日本の漆は