(1)企業には、経済活動の一環としての契約締結の自由があり、自己の営業のためにどのような者をどのような条件で雇うかについては、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由に行うことができる。 (2)労基法3条は、労働者の国籍、信条(宗教的信仰のみならず、人生や政治に関する考え方)又は社会的身分(生来的な身分だけでなく、後発的理由によるものであっても自らの意思で左右できない固定的な地位も含む)を理由とする労働条件の差別的取扱いを禁止しているが、これは、雇入れ後、すなわち、従業員になってからの労働条件の差別的取扱いを禁止する規定であって、労働者の雇入れそのものにおける労働条件の差別的取扱いを規制する規定ではない。 (3)判例法理は、以上のように企業の広い採用の自由を認めているが、近年、立法、行政指導等により企業の採用の自由は制約される傾向にある。 2 モデル裁判例 三菱樹脂事件 最大判
→紀伊國屋書店で購入 「震災と向き合った二人の民俗学者」 震災後、今和次郎(こん・わじろう、1888-1973)をめぐる書籍が相次いで出版された(本書の他に、今和次郎『今和次郎採集講義』青幻舎)。今和次郎は主に大正から昭和初期にかけて活躍した民俗学者である。民俗学研究としては民家や服飾の分野で業績を挙げたが、現在でも広く知られているのは、主として今が提唱した「考現学」(モデルノロヂオ)によるものだろう。 今の考現学とその後の系譜についてはここでは触れないが、なぜいま今和次郎なのか。その理由は、彼の災害に対するまなざしと実践にある。 本書はⅡ部構成となっており、Ⅰ部で柳田国男(やなぎた・くにお、1875-1962)を、Ⅱ部で今和次郎について論じている。この二人は柳田らが発起人となった研究会「白茅会」(はくぼうかい)を通じて師弟関係にあったといわれる。だが、著者が今和次郎を括弧つきで柳田の「弟
田中秀臣「二・二六事件と“改革病”」 2012年01月05日13:00 担当者より:経済学者の田中秀臣さんが二・二六事件に触れつつ、改革の熱に浮かされる人々の問題を論じた原稿です。また、田中さんは近日、上念司さんとの共著『「復興増税」亡国論』を上梓されるとの由。その新刊やこちらのインタビュー(聞き手は辻本力さん)もぜひお読みください。 配信日:2007/02/21 いまからおよそ70年前の二月二六日に、帝都東京を舞台にした陸軍の青年将校による政権打倒・「昭和維新」を目指すクーデターが起きた。当時の高橋是清蔵相ほか、政権の幹部を殺傷、多くの軍・政府施設を占拠して数日後に反乱軍の解散という事態で失敗に終わったこのクーデターは、日本の現代史にさまざまな伝説を残して今日も語られている。 例えば、この二・二六事件は、「皇道派」と「統制派」という陸軍内部の主導権争いであり、前者が敗北し後者が勝利
08憲章=中華連邦共和国憲法要綱をどんどん読もう 12月10日、中国における一党支配の全体主義的政治的体制の民主的体制への変更を求める「08憲章」が学者や作家ら303名の実名による署名を得て、インター・ネット上に公表されたという報道を私はNHKテレビの昼頃のニユースで見た。その詳報を知ろうとしたが、朝日新聞などは全く触れないし、NHKもそれ以後はニュースに流さなかった。恐らく報道の自主規制がなされたのであろう。私は中国の知人に尋ねてこれが事実であることを知り、署名者の劉暁波氏の身柄がすでに警察によって拘束されていることをも知った。そして日本のネット上で「08憲章」を見ることが出来ることも教えられた。 「08憲章」の「まえがき」はいっている。「こうした普遍的価値と基本的政治制度枠組みを取り除いた「現代化」は、人の権利をはく奪し、人間性を腐らせ、人の尊厳を踏みにじる災難である」と。私は
高校生の時、例えば丸山真男の『日本の思想』(岩波新書)を読んでみてもなかなか理解できないのは、例えばカール・マンハイム(1893-1947)の『イデオロギーとユートピア』(1929)に出てくる「存在被拘束性」の概念とか、さりげなく専門的な哲学・思想用語がちりばめられている点にあるのだろう。大学に入って、近代社会思想を学んだ時にこのマンハイムに触れたのだが、簡単に言えば、人間の思想や考え方、政治的意見などは、その人の社会経済的な立場に影響されているということである。 例えば南北戦争期のアメリカなら、商工業中心のアメリカ北部都市は奴隷解放により、解放奴隷が都市の労働力不足を補うのに役立つから奴隷解放賛成であったし、奴隷労働に依存するプランテーション農業中心の南部は経済的に死活問題なので反対する、という具合に、一見、奴隷制賛成か反対かという人道上・道徳上の意見も、生活基盤が商業か農業か、北部か南
2001年ノーベル経済学賞受賞。1943年米国インディアナ州生まれ。イェール大学教授、スタンフォード大学教授、クリントン元大統領の経済諮問委員会委員長、世界銀行上級副総裁兼チーフエコノミスト等を歴任。現在はコロンビア大学教授。 スティグリッツ教授の真説・グローバル経済 米国をはじめとする各国の経済政策、気候変動、金融規制等々、世界の最重要テーマを、ノーベル賞経済学者のジョセフ・スティグリッツ教授が明快に解き明かす。 バックナンバー一覧 日本の地震がもたらした事態、とりわけ福島原子力発電所でいまなお続いている危機は、グレートリセッションを引き起こしたアメリカの金融崩壊を見つめていた人びとに、不気味な類似点を感じさせる。どちらの出来事も、リスクについて、また市場や社会のリスク管理のまずさについて厳しい教訓を与えてくれるのだ。 ジョセフ・E・スティグリッツ (Joseph E. Stiglitz
2011年05月13日 12:19 ドイツの著名な社会学者ウルリッヒ・ベックさんの朝日新聞インタビュー記事「原発事故の正体」全文引用いたします。 世界リスク社会論 テロ、戦争、自然破壊 (ちくま学芸文庫) 震災列島 (講談社文庫) 「危険社会」「リスク社会論」などの現代社会のリスクに重点をおいた社会学の分析者、世界的に有名なドイツの社会学者ウルリッヒ・ベックさんが日本の福島第一原発事故について語った「原発事故の正体」というインタビューが本日の朝日新聞朝刊オピニオン面に載っております。非常に重要な、我々日本人の今後の進路を考える上で大切なことを述べていると僕は思います。以下、ベックさんへのインタビュー記事を全文引用いたします。 ウィキペディア「ウルリッヒ・ベック」 ウルリッヒ・ベック(Ulrich Beck, 1944年5月15日 - )は、ドイツの社会学者。ルートヴィヒ・マクシミリアン大学
人間関係や社会参加がうまく行かない状態について、原理的考察を欠いたままでは、 努力が逆効果になる(努力すればするほど、悪いメカニズムを補強してしまう)ことがある*1。 それゆえ、 誰かとつながろうとした時に前提となっている序列や役割意識・罪悪感など 【つながりの作法】 「努力するとはこういうことだ」と思い込んでいる 【努力の態勢】 いつの間にかはまり込んでいる苛立たしさ 【意識は時間的肉体と別の場所に存在できない】 日常的すぎてわざわざ考え直す必要がないと思われるやり方をこそ検証しなければならない。 そして、その《検証のプロセス》にこそ焦点がある*2。 ふつうの考察は、検証内容そのものに注目するばかりで、この検証プロセスには付録的意義しかない。ところが、思考/肉体/関係性を生き直す秘密は、この検証プロセスにこそある。本当に必要な危険さは、このプロセスでこそ生きられる*3。――ここまで来てし
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