なぜ習近平は、李克強を生かしておくか 2017年10月、中国共産党の党大会(第19回全国代表大会)が開催された。この大会は5年に1度、1週間程度開かれる党の最高意思決定機関であり、共産党一党支配の中国においては国家の方向性を国民および対外的に示す重要な機会と位置付けられる。大会を通じて感じたのは、習近平国家主席に対する礼賛の嵐とすさまじい権力集中ぶりだ。 大会最終日には党の最高規則である党規約の行動指針に「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」という文言を盛り込む改正案が「異議なし」の全会一致で採択された。指導者の名前を冠した「思想」が規約に掲げられた前例は、「毛沢東思想」のみ。つまり習国家主席は毛沢東並みの権威を手に入れて、ほぼ神格化されたことになる。 党大会が終幕した直後には共産党の「第19期中央委員会第1回総会」が開かれ、最高指導部である7人の政治局常務委員と25人の政治局委員