<W杯フランス大会アジア第3代表決定戦:日本3-2イラン>◇1997年11月16日◇マレーシア・ジョホールバル 日本がついに、W杯出場を決めた。長く苦しい戦いに、ようやくピリオドを打った。イランを下した。延長の末に3-2で出場権をもぎとった。赤道直下の街の夜空に日の丸が揺れた。歓喜の歌が響き渡った。中山が決めた。城も続いた。最後は岡野。延長後半13分、岡野の右足から放たれたVゴールは、苦しみ抜いた日本代表の姿そのものだった。勝った。W杯をつかんだ。何度も傷ついた。そのたびに立ち上がった。負けられない。フランスに行くまでは。あきらめられない。夢を実現させるまでは。スタンドの2万サポーターが、そして日本のだれもが勝利を願った。熱い思いがマレーシアに届いた。 野人は、いやヒーローは突然現れた。中田のシュートがGKにはじかれた時、岡野が右サイドからゴールへ滑り込んでいた。日本中のすべての思いを込め