――中村監督と寂聴さんの出会いを教えてください。 2004年にテレビのドキュメンタリー番組の取材でお会いしたのが瀬戸内寂聴先生(以下、先生)との出会い。取材が終わってからも関係が続いたのは偶然だと思います。当時から、ずっと先生を撮り続けたいと思っていたわけじゃなかったですしね。大きかったのは、翌年に別番組で先生と一緒にフランスに行ったこと。別の作家が急遽ロケに行けなくなってしまったので、穴埋めするために「先生を口説いてくれ」と言われまして。ダメもとでオファーをしたら、番組のためにスケジュールを空けてくださったんです。 その翌年にも、先生の番組を撮らないかとNHKからオファーを受け、世阿弥の晩年に焦点を当てた『秘花』執筆のための佐渡島取材へ同行しました。強行軍だったので現場で僕がイライラすることもあったのですが、先生はスタッフたちに気を遣ってお茶を配ってくれたり。本当に優しかったですね。 結