小松がデビュー前から、妻の娯楽のために書き溜めたものが原型である。なお、小松は終始「ラジオが質入れされて、妻の楽しみがなくなったので執筆した」と書いていたが、ラジオは「故障して修理に出していた」ことが判明している[1]。 小松によれば、本作品の初稿は原稿用紙850枚ほどであったが、200枚分ほどカットし、さらにイラストを入れるため100枚切ることを要求されたため、光文社での次作『日本沈没』では絶対にカットしないという約束で執筆したという[2]。 1960年代の、史実とは違う日本が舞台である。この世界では戦後の日本国憲法の方向性に対する反動が、実際に大きな流れとなって体制を変更したという仮定の歴史に基づく。そこでは基本的人権に関する条項のいわゆる権利が義務に置きかえられ、たとえば「労働の権利」のかわりに「労働の義務」が存在している。これに応じて労働法の改悪と引き換えに死刑が廃止され、重犯罪者