表1 2022年 病院調査: 睡眠薬・抗不安薬を主たる薬物とする症例における薬剤の内訳(N=435) この4薬剤、薬理作用の効力が強いだけでなく、「切れ味のよさ」が共通しています。つまり、血中濃度の立ち上がりが早く、比較的すみやかに血中濃度が低下するわけです。このため、患者は効果の発現を自覚しやすく、しかも、翌朝に眠気の持ち越しがありません。当然、患者からの評判はよいのですが、実はこういった性質を持つ薬剤は依存性が強いのです。実際、乱用者のあいだでは一種の「ブランド化」がなされて人気を集めています。 睡眠薬・抗不安薬依存症患者は、最初からベンゾ類を不適切に使用しているわけではありません。最初は処方通りに服用しているのですが、そのなかで、たとえば人間関係の悪化や様々なストレスに曝されるなかで、1錠、2錠……と徐々に乱用を進行させていきます。とりわけ、トラブルを抱えつつも誰にも相談できない(あ